インタビュー

LONG REVIEW――ジャンク フジヤマ “シェダル”



ただただ〈良い曲、良いメロディー〉



ジャンクフジヤマ0123_J170

メジャーからの第3弾にして2013年の幕開けを告げるシングル。先の2枚はソウル~ファンクの要素が色濃いグルーヴィーな作品だったのに対して、本作の表題曲はシンプルな8ビートのナンバーだ。ジャンク フジヤマ本人は〈パワーポップス〉と表現しているようだが、サウンド面をシェイプすることで、メロディーとヴォーカルをこれまで以上に力強く打ち出している。以前に取材した際、ジャンクは自身の作品について「あくまで歌が主役」と語っていたが、そんな彼の音楽観/ポップス観をストレートに投影した楽曲だろう。

カップリングの“魅惑の唇”はラテン風味の複雑なリズム・セクションにセクシャルな物語を乗せた1曲。そして恒例のライヴ音源も収録されており、暑苦しいほどのグルーヴが押し寄せる鈴木茂“砂の女”と、ひたすらスウィートなニール・セダカ“Laughter In The Rain”のカヴァー2曲を堪能できる。

メジャー・デビュー以降のジャンクは、誰が聴いても〈シティー・ポップ〉と形容し得るサウンドを意識的に展開してきたが、本作はそうした枠組みを設けず、ただただ〈良い曲、良いメロディー〉をめざして作り上げた一枚のようにも思える。今後はより自由で気負いないスタイルへと移行するのか? シングルのリリースを3枚重ね、そろそろアルバムを期待したい時期ということもあり、そんなスタンスの変化も気になるところだ。



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掲載: 2013年01月23日 18:01

更新: 2013年01月23日 18:01

文/澤田大輔