少年から青年へ——これまでの作品をさっくりおさらい!
実は、ハマ・オカモトはオリジナル・メンバーではない……という事実を知らない人もいるかもしれないが、彼が加入する前にベースを弾いていたのはオカモトマサルである。そのマサル在籍時代、そして一部メンバーが名を連ねるズットズレテルズで〈閃光ライオット〉に出演して話題となった年に、インディーからファースト・アルバム『Here are OKAMOTO'S』(2009年)をリリース。“Bigger Foot”“ブギー中毒”など初期ストーンズ顔負けの渋く黒っぽい楽曲が揃っていた。その後、マサルがハマと交替して現在のラインナップになり、2010年に〈SXSW〉への出演やUSツアーなどを経て力を付けた彼らは、同年にメジャー・デビュー作『10's』を発表。数々の経験で得た自信が演奏にも表れているばかりか、“Beek”や“おやすみ君のこと”などキャッチーなフックを持ったナンバーが増えているのも大きな特徴だ。ザ・フー“The Kids Are Alright”、ライヴの定番であるルースターズ“恋をしようよ”のカヴァーも無邪気に披露していて微笑ましい。
こからわずか半年後に届けられた『オカモトズに夢中』は、エアロスミス(ランDMC?)“Walk This Way”や、ゆらゆら帝国“美しい”などのカヴァーが彼らの音楽性の幅広さを物語る一方、演奏にもどっしりとした厚みが出てきた力作だ。また“Telephone Telephone”のような歌謡テイストの曲が新境地を伝えてもいる。そして、メンバーみずから〈(メジャー・デビュー後)3部作のラスト〉と位置付けている『欲望』では、前作で窺えたポップな歌謡ロック路線がさらに強まり、沢田研二“カサブランカ・ダンディ”もリメイク。インスト曲の“ハマ・オカモトの自由時間”をはじめ、メンバーそれぞれの個性が作品内で際立つようになっていたりも。そんな傾向は新作にも引き継がれ……。
▼OKAMOTO'Sの作品を紹介。
左から、2009年作『Here are OKAMOTO'S』(redrec)、2010年作『10's』『オカモトズに夢中』、2011年作『欲望』(すべてARIOLA JAPAN)
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掲載: 2013年01月09日 17:59
更新: 2013年01月09日 17:59
ソース: bounce 351号(2012年12月25日発行)
文/岡村詩野