INTERVIEW(3)——フィルターがなくなった
フィルターがなくなった
――具体的な曲作りは、どんな感じで?
石坪「今回は3人共作っていて。ネタを持ってくるのは個人ですけど、それをパズルのように当て嵌めて曲を作っていく作業は3人でやってます。歌詞は、メインで歌うほうが書いたりとか」
高橋「逆に〈この曲は俺(石坪)が書きたい〉と言いつつ、私が歌ってる曲もあります」
石坪「3人で作った感は、いままででいちばんあると思いますね」
――3人が納得いくまでやるとすると、相当時間がかかるんじゃないですか。
石坪「いや、そうでもないですよ。もともと最初からそういう作り方だし、むしろフィルターがなくなった気がする。お互いにやれることがそれぞれわかってきて、うまくハマるようになってきてるのかなと思います。そんなに切羽詰まった感じはなかったし、楽しく作れましたね」
――高橋さん。ギタリストとして、何か演奏的なこだわりは?
高橋「あー、なんだろう?」
――アコギを使ったり、エレキでも曲によって音色や弾き方をいろいろ変えてますよね。
高橋「そうですね。私のギターでどれだけ曲をさらに良いものにできるか?にこだわりました。アコギの音が欲しかったら入れるし、使う音色もいままでより増やして、フランジっぽい音を使ってみたりとか」
――そういう、個々のプレイに関してはほかの2人は口を出さない?
石坪「そうですね。今回は特に、みんな好き放題やってると思います(笑)」
高橋「お互いを受け止められるようになったから、そうなったんだと思います」
石坪「そっちがそうやるなら、こっちはこうやろうとか。自然とそういうふうになっていきましたね」
ある意味行き当たりばったり
――ここで僕の好きな曲について、ランダムに訊いちゃいます。“Same sky, same ground”の、昔のモータウン・サウンドみたいな明るいシャッフルのリズム。あれは誰の発案ですか。
高橋「曲は私ですけど、リズムに関しては彼(阿部)が」
阿部「メロを聴いた時に、〈昔っぽいな〉と思ったので」
高橋「昔臭いよね、このコード進行(笑)」
阿部「それこそ80年代、90年代のJ-Popみたいなイメージがあったので。普通の8ビートだったり、2ビートだったり、いろいろ考えたんですけど、これがいちばんハマリが良かった。直感でやってみたらすごい良かったんで」
――“Cosmos”も明るくハネたリズムですけど。
阿部「“Cosmos”は、ネタを持ってきた段階でこういう感じだったんですよ」
石坪「宇宙っぽい曲を作ろうと思ってたんで。イメージ先行です」
高橋「それが伝わったんじゃない?」
石坪「そうだね。〈こんな感じで〉って言ったら、こんなになっちゃった感じです(笑)」
――あと、リード曲の“Left behind”。これはリズムに緩急があって、すごくドラマティックな曲になってますけども。
石坪「これが実は、悩んでたんですよ。〈このリズムでいいのかな?〉と思っていて、あやうく今回のCDに入らないところだったんですけど、録ってみたら〈良いね〉というふうに考えが変わったんですね。最初はこのメロディーに対して、もっと良いリズムがあるんじゃないか?と思って悩んでたんですけど」
――今回、リズム・パターンが全曲違うと思ったんですよ。同じようなテンポの曲でも、必ずおもしろい仕掛けがあったり、挑戦があったりして。
石坪「1曲作るごとに、それとは違う曲を作りたいなというのがあるので。今回は〈共有しやすいものを〉という軸があるだけで、全体のイメージは本当に漠然としていたんですよね。曲を作るごとに〈次はこういう曲があったほうがいいんじゃない?〉という感じでどんどん作っていって、12曲揃って……」
高橋「こういう感じなんだ、って」
石坪「いいアルバムになったんじゃない?って(笑)」
――それは、ある意味行き当たりばったりという(笑)。
石坪「ほんと、そんな感じですよ。それは長くやってきたからできるかなと思いますね」
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