INTERVIEW(2)――初作への思った以上の反応
初作への思った以上の反応
――本格的に曲作りへ向かうようになったのはいつ頃なんですか?
「高校生の時もトラックはいっぱい作ってたけど、録音するようになったのは専門学校に入ってから。いちばん最初に録ったのはジェイ・Zの曲のイントロをループさせたトラックに英語の歌詞を乗せたやつで、〈誰が聴くんだろう?〉みたいな(笑)。ライヴはアルバム出るって決まってからやるようになったくらいで、デモテープばっかり作って、いろいろ(レーベルなどに)送ったり、インターネットにアップしたりしてました」
――リリックのアイデアはどういうところから集めてました?
「最初の頃はちょっと歳の離れた弟を喜ばせる物語を書くことが多かったですね。ここ何年かでだいぶ変わったんですけど、昔は自分の負の感情とかイライラしたことに触れながら書くことがほとんど。テーマになる大きい感情があって、それに沿った物語を書いていくと曲がどんどん自分のなかから出てきたんです。でも、自分で経験したことのほうがリアルでオリジナルなものになるって気付いてから、経験したことそのままを使わなくともあの時のこれとこれをこういう話にまとめたら成立するなとか、そういうことをどんどんやっていって。それが上手くいった感じです」
――ファースト・アルバムの『明日など来るな』もその延長で出来上がったものというわけですね。
「誰もそんなに注意深く聴かないだろうって、好き放題やってた部分もありました。でもアルバムを聴いた人から〈あれはホント(の話)なのか?〉みたいな反応が多く返ってきて。そういう曲に反応してくれる人がライヴを観にきてくれたり、メールくれたりして実際に話してみると、作り話じゃなくすごい問題を抱えてる人がいて」
――ご自身が思いもしなかった反応が返ってきたという。
「そんなに多く返ってくるとは全然予想もしてなくて。自分ではわりと楽しめる内容だなと思ってたくらいなんです。中高生が読むような、ユーモアを交えつつちょっと暗い部分もあるものを……という感覚で作ってたので」
――作り手としてはダークなフィクションとして完結させていたものが、思わぬところで現実とリンクしちゃったと。
「そこはだいぶデカイです。ただ、小っちゃい時に親同士の口論が激しかったり、父親が酒呑んだらすごい乱暴になって手が付けられなかったりとか、前回のアルバムで書いたことは実際にもあって、単純に曲で父親に仕返ししてやったみたいな子供っぽい思いとかもあったんですけど(笑)」
――ともあれ、リスナーからそうした反応を得ることで、レイトさん自身の音楽への向かい方も変わりましたか?
「そういうのを世間にさらすことで家族に嫌な顔されるだけじゃダメだな、みたいなことは前作を作って感じてたし、商品としてお金をもらっているのに、また同じような曲を繰り返してたらただのイヤな奴なんで。別にそんなことしなくてもちゃんと成功してる人はいっぱいいるから、他の道はないかなと考えました」
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