インタビュー

INTERVIEW(3)――等身大の自分を出していこう



等身大の自分を出していこう



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――それを踏まえて、今回のアルバム『君を愛す』はファーストと違う世界観のものにしようっていうことから始まったと。

「はい。自然とそうなる流れだったと思います。曲によっては前回と同じ手法を取ってるものもありますけど、ほとんどは成り行きのなかで自分の感じたものがなるべく自然に出るように」

――それこそ音楽に向かうまでの精神状態がそのまま曲に出てるように思えますね。ご自身のトラックのクォリティーも格段に上がったように思うんですが、制作環境の変化などはありましたか?

「いままではMIDIのキーボードで簡単なフレーズを打ち込んでループしていくだけ……あとは(リリックとの)ギャップが目立つように、とか。でも今回はこれまでと違う方法にもトライしてみました。今回初めて自分でギターを弾いて作ったのも、そういうことですね」

――前作ではサウンド面の反省もありましたか?

「ファーストを出した時はトラックがダメだって声がチラホラあったんで、何とかそこをクリアしようとがんばりました。自分でできないところは演奏してもらえる人をレーベルから紹介してもらったりとか。ロックっぽいところは、自分の聴いてきた音楽が自然と反映されているんだと思います」

――制作全体としてみると、レコーディングの中断などを挿んで、アルバム完成までの道のりは平坦じゃなかったようですね。制作も2010年頃からずっと続いていたそうで。

「ファーストを出した後にメジャー・レーベルからも声が掛かって、そこでもちゃんとやっていけるような曲を作ろうって感じだったんですけど、結局上手くいかなくて。それからやっと作れるモードになった頃にいまのレーベルとやり取りをしたんですけど、その頃私生活ですごい悩んでたこともあって、自分の出したいものを上手く出せなかったんです。なので一旦連絡するのを止めて、曲が貯まるまでいろいろご迷惑をおかけして。それでまた連絡を取り出したのが一昨年の末ぐらい。その後EP(『さよなら昨日』)を出してライヴをちょくちょくやって曲も作ってたんですけど、上京しようってタイミングでまた私生活のいざこざがあって……」

――音楽に集中できる状況になかったわけですね。みずからを鼓舞する曲が形になったのも、そうした状況のなかから生まれてきたものと考えて良いですか?

「そうですね。日々、自分で自分に〈がんばれ!〉みたいなのはありますから。いままでは作者の僕と関係ない物語も多かったんですけど、今回は等身大の自分を出していこうというのがありましたし、音楽への向き合い方も〈完成品はこうじゃないといけない〉というより、素直に自分を出してみようっていう感じ。すぐに書けてしまった歌詞もあれば、すごい時間をかけて何回も書き直したものもあります」



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掲載: 2013年04月24日 18:00

更新: 2013年04月24日 18:00

インタヴュー・文/一ノ木裕之