INTERVIEW(3)――お互いの想像の範疇を超える
お互いの想像の範疇を超える
――リード曲の“DRUNKEN PIRATES ~終わりなき夜の果て~』を筆頭に〈海賊〉〈航海〉〈旅〉というモチーフが数多く用いられてますね。
TOMO「〈海賊〉みたいなイメージはあったんですよね、何となく」
KAT$UO「まあ、それはずっと前から歌ってきたことですからね。〈DRUNKEN PIRATES〉をリード・トラックにしたいっていうのは全員の共通認識だったから、そこに乗せる歌詞でも自分たちのイメージをしっかり描きたいと思って。ライヴのこともすごく考えてました。〈荒れた波越えてこの島へ、さぁ集え!〉とか〈我等闇を呑むDrunken Pirates!!〉という歌詞は、〈日常の不安を俺たちが全部吹き飛ばしてやる〉という気持ちでもあるんですよ。自分としてはポジティヴなメッセ―ジとして書いてるんですけどね」
――なるほど。一方ではTOMOさんが作詞した“Who killed the RED?”のようなメルヘンティックな世界観の歌もあって。
TOMO「(作曲者の)HIROMITSUさんから〈赤ずきんちゃんのイメージなんだよ〉っていう漠然としたテーマをもらったんですよ……ウフフフフ」
KAT$UO「なんで笑ってるんだよ(笑)」
TOMO「(笑)でも、この歌詞は狼さんが主役なんです。人間への愛じゃなくて、動物の愛みたいなことがテーマになってて……」
MASAYA「え、そうなの? そのテーマ、デカすぎない?」
TOMO「あの、赤ずきんちゃんは狼さんに食べられちゃうじゃないですか。ウチらは〈赤ずきんちゃんがかわいそう〉って思いがちなんだけど、狼さんにとっては〈お腹が空いたら食べる〉っていうのはあたりまえのことだと思うんですよね。むしろ、狼さんは赤ずきんちゃんを愛していたんだけど、愛ゆえに食べちゃったんじゃないかなって」
MASAYA「愛ゆえに(笑)。『北斗の拳』の世界だな」
――サウザーの名ゼリフですね(笑)。
MASAYA「じゃあ、このタイトルの〈kill〉は〈love〉なんだ?」
TOMO「そうですよ。赤ずきんちゃんも悪いんです。狼さんを誘惑したんだから」
MASAYA「(笑)これだからバンドはおもしろいですよね。バンドをやってて〈いいな〉とか〈おもしろいな〉って思うのはこういうことなんですよ。ひとりでやってたら、自分の想像の範疇を超えることはないですよね。でも、いろんなタイプの人間といっしょにやってたら、それだけ違う歌詞とかも出てくるわけで。さっきの〈DRUNKEN PIRATES〉の話も、いま初めて〈そういうことだったんだ〉って思ったし。もちろん、全部説明しなくてもいいと思いますけどね」
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