インタビュー



hideのソロ活動開始から今年で20年、そして来年には彼自身の誕生から50年を迎えようとしている。そんなアニヴァーサリー・イヤーに相応しく、さまざまなコンセプトやテーマに基づいたトリビュート・アルバムが〈SPIRITS〉をキーワードとして掲げながらリリースされているが、今回はいよいよ彼自身の盟友ともいうべきINAの手による、『hide TRIBUTE Ⅴ-PSYBORG ROCK SPIRITS- ~CLUB PSYENCE MIX~』が登場。実に全18曲をノンストップで繋げたリミックス作品なのだが、同時にこれは〈hide自身の歌声をたっぷりと堪能できるトリビュート作品〉という画期的な一枚でもある。今回はその当事者であるINAに、話を訊いた。



hideの音楽を爆音で楽しもうと



hide
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――リミックス作品のあり方というのはさまざまですけど、この作品は全曲がノンストップで繋げられたもの。かなり大変な作業だったんじゃないですか?

「時間をかけようと思えばいくらでもかかりますからね(笑)。今回、シリーズ的にトリビュート・アルバムがリリースされるなかで、僕がすべてを監修する形でのリミックス・アルバムを1枚作りたいという話をいただいて。そこでやっぱり何かコンセプトがあったほうがいいだろうと考えたとき、〈CLUB PSYENCE〉をキーワードにするのがいいんんじゃないかということになったんです。それ自体、僕自身にとっても所縁の深いものだし」

――その〈CLUB PSYENCE〉について。ファンにとってはもはや説明不要のはずですけど、改めてこのクラブ・イヴェントが始まった経緯というのを話していただけますか?

「1997年に〈MIX LEMONed JELLY〉というイヴェントがあったんですね。都内のクラブ4軒ほどを借り切って、お客さんはそこを自由に行き来できるシステムになっていて、いろんなアーティストがそこでライヴをやったりDJをやったり……。そこでhideと僕とでDJユニットみたいなのを作って、いつ、どの会場に現れるかわからないゲリラ的な感じでDJをやったことがあって。それが〈CLUB PSYENCE〉の起源としてはあるんです。そして彼が亡くなった後に〈hide MUSEUM〉が出来て、その館内のライヴハウスで、彼の音楽を爆音で楽しもうじゃないかというのがイヴェントとしての始まりですね。時期によっては〈CLUB PSYENCE〉の名前を掲げてツアーをやってみたり。近年ではラジオDJの浅井博章さんをメインDJとしたイヴェントとして行なわれていて、そこに僕もゲストとして関わらせていただいたり。今年は〈hide MUSEUM〉の期間限定復活とか、こういった一連のトリビュートとかいろんな動きがあったので、ちょっとお休みしてたんですけど、今回のリリースを記念してのイヴェントも近いうちに行なわれることになってるんです」

――それは楽しみですね。そして、いまの話からもわかるのは、そもそもはhideさん自身の〈何かおもしろいことをやりたい〉という発想から始まったものだということ。

「ええ、まさに。そもそも〈MIX LEMONed JELLY〉を開催するにあたっても、hide自身は出ないつもりでいたんです。ところがロサンゼルスから帰ってきてみたら大変な騒ぎになっていて、〈これは出ないわけにいかないだろう〉ということになって(笑)。そうしないと収拾がつかない。そこで急遽、2日間ほどかけて2人でいろんな曲のリミックスをしたり、クラブ風にリアレンジしてみたり。そういったものを何曲かプレイしたんです。彼自身はもともと、自分不在のイヴェントとして企画していて、そこにフラッと遊びに行って一杯やりたいな、ぐらいの考えだったはずなんですよ(笑)。だけど知らないうちにコトが大きくなっていて」

――〈CLUB PSYENCE〉という機会はこれからも残っていくことになるわけですよね。それこそ時代とともに形を変えながら。

「そうですね。実際これまでもいろいろ変わってきてるし。ただ、根本的にはお客さんも出演者側もhideや彼の音楽が好きという共通項があるなかでやっていることで、単純に言えば、同じものを好きな者同士集まって、大好きな音楽を大音量で楽しもうということなんです。いまではそういったクラブ・イヴェントもすごく定着してきてますけど、当時はあんまりなかったですよね。ロック系のアーティストが主導してそういうことをやっているという例はほとんどなかったと思う。そういう意味では、早かったのかもしれませんね」


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掲載: 2013年08月28日 18:01

更新: 2013年08月28日 18:01

インタヴュー・文/増田勇一