INTERVIEW(4)——『インク』以降のそれぞれの思い
『インク』以降のそれぞれの思い
佐藤ケンケン
――今回は3つの新曲を聴くことができますが、シングルというよりも、3曲のミニ・アルバムといったようなバランス感があると思うんですよね。
「うん。楽曲が三者三様だし、それぞれがいまのPlastic Treeを構成してる軸というか、そういうものにあてはまるからじゃないですかね。やっぱりアルバムを出したあとなので、いまはすごく整理がついているというか。特に意識して選曲したわけじゃないんですけど、あとあと聴いてみたとき〈ああ、バランスいいね〉っていうことはメンバーでも話してました」
――アルバムのあとだから整理がついてるというのは?
「バンドに持ち込んでみたいものを全部詰め込んで、ガーッて一気にやって、気が済んだんじゃないですね(笑)。それでフラットになれてるというか。あと今回は、〈『インク』のあのへんが良かったね〉っていう部分も出てるのかなあって。勝手な、あとからの解釈ですけど」
――『インク』でトライしたことの成果を今回も活かせていると。
「うん。例えば“ピアノブラック”は『インク』のなかでも強烈なイメージを持つ曲になったし……っていうのがあって、アキラ的には“アイレン”みたいな曲をいまやりたいって思ったのかもしれないし。本人に訊いてないからはっきりはわかんないですけどね。でも、『インク』以降のそれぞれの思いがスムースに出たんじゃないかな。あのアルバムを作ってないと、〈これもいいのかな? あれもいいのかな?〉って悩んだと思うんですよね。今回はそれぐらい曲が多かったから。だけど、あのアルバムがあったことで、〈この方向はやり遂げちゃったから、いまこの方向はやらなくてもいいかな〉とか、そういう判断もできたと思うんですね」
――それは『インク』というアルバムが特に大きかった? それともアルバムを作ったあとは毎回そういう感じなんでしょうか?
「毎回そんな感じですね。だから今回の曲は、わりと素直にいま何やりたいか、っていうのに近いんじゃないですかね。アルバムだと〈ここに手を出していいのかな?〉とか、そういうこともいろいろ考えるんですけど、いまは全部終わったあとだから。“瞳孔”も〈シンプルでロックンロールな曲にしよう〉って、スタジオ入って4人だけでやれる曲っていいじゃんっていう感覚がたぶんあったと思うし」
――それにしても、あれだけやり尽くした感のあったアルバムのあとながら、やりたいことが尽きないっていうのは良いことですね。完成を待っている曲もたくさんあるようですし。
「そうですね。みんな元気ってことですね(笑)」
――(笑)制作はいまも続いてるんですか?
「静かには続いてますね」
――そのなかで、今後の方向性として何か見えてきていたりは?
「それはまだかな。いまは個人個人の作業に戻ってるんで、またみんなで集まり出したら見えてくるのかな、と思いますね」