INTERVIEW(3)――命は繋がり合ってる
命は繋がり合ってる
――そういう伏線がありつつ、〈死〉というテーマも重なって、より深くなったのが今回のアルバムだと思います。
「そうですね」
――コンセプト・アルバムだと思いましたよ。最初に聴いた時から。
「作ってる時は、そういう意識は全然なかったんですけどね。ベストを聴いて、ベストは1曲ずつバラバラのはずなのにちゃんとアルバムとして聴けるなと思って、〈こういう作り方をしてもいいかもしれないな〉って。バーッと曲を作って、アルバムのコンセプトに合うように曲を選んでいくというよりは、1曲1曲ちゃんとシングルにできるぐらいの良い曲をしっかり作っていく、みたいな。で、7月くらいに曲順を決めて聴いた時に、〈頭にSEが欲しいな〉と思って“メメント”を作った。そしたら“閃光”がもっとドラマティックになって、急にアルバムのコンセプト感が増していって。それから〈途中で箸休め的な曲があったらいいよね〉という話が出て、オレは忙しかったから〈山ちゃん(山下)何か作ってや〉って言ったら〈ええよ〉って」
――それが8曲目の“raindrops”。どっちも短いけど、“メメント”とこの曲の存在は、アルバムの流れのなかですごく重要だと思う。
「で、アルバムの真ん中ぐらいにある“明日死ぬぐらいの感じで”が、引き締めてる感じがするんですよ。だいたい前向きな言葉で終わる曲が多いなかで、この曲だけが負のピークみたいな。そこからまた戻ってくるんですけど」
――ああ。そうですね。
「“明日死ぬぐらいの感じで”と、次の“壊れてくれない”も同じような世界観なんですけど。ただ前向いてるだけじゃなくて、こういうやるせなさ、無力感とかが絶対オレの根底にはあって。それがあるからたぶん、最終的にしっかりと前を向ける。これがあるとないとで、アルバムの印象がすごい違うんじゃないかな」
――すごく良い流れだと思います。
「意外と、ツルッと聴けますよね。もっとズシッとするんかな?と思ったけど。あと歌詞で言うと、〈命は繋がり合ってる〉ということを、すごく言いたかったんですよ。これもボビーのことがきっかけになってるんですけど、〈誰かが死んでも自分のなかで生き続ける〉みたいなことって、綺麗ごとのように思ってたんですけど、それって本当に物理的にそうだと言い切ってもいいぐらいのことだなと思っていて。命は一個で存在してるんじゃなくて、人と人との繋がりのなかでちょっとずつ共有し合ってるんだなと思うんですよ。だから誰かが死んだ時に、オレがその人と共有していたオレの命もいっしょに死ぬし、でもその人と共有していたその人の命はオレのなかで生きてるし。というのは、すごい思いましたね」
――それは、実感としてよくわかります。
「自分もいっしょに死ぬという感じがすごいあったんですよ、誰かが死んだ時に。自分のなかの何かがなくなるじゃないですか、決定的に。それってきっと、死んだ人と共有し合ってた自分の命なんだなって。その代わりに、自分のなかにあるその人の命はまだ残ってる。人と人って、そういうふうに生きていってるんじゃないかな?と思ったんですよね。そういうことを最後に“幻灯”で歌いたかったですね。実はこれがいちばん好きな曲なんです、オレは。よく出来たなぁと思う」
――無責任な言い方だけど。このアルバムは、いままで以上にたくさんの人の心に届くはずだと思うし、届かなきゃいけないと思います。
「いままででいちばん普遍性はあると思うんですね。だからって上っ面ではなく、ちゃんとLUNKHEADだと思うし」
――世の中的に言っても、震災以降、〈メメントモリ=死を思う〉というのはすごくリアルで切実な感じ方だと思うんですよ。
「原発のこともあるし、みんないまもずっとどこかで不安を抱えてるから」
――そう。嫌らしい意味じゃなく、時代と波長が合ったアルバムだと思うので。とにかく耳にすれば必ず伝わると思います。そして次は、10月から始まるツアーですね。
「楽しみですね。最近は若いバンドに慕ってくれる人たちがいるので、これからそういう人たちとどんどんいっしょにやっていこうかなと思って、ツアーが終わったら。グドモ(グッドモーニングアメリカ)とか、真空ホロウとか、BLUE ENCOUNTとか、〈LUNKHEAD聴いてました〉って最近よく言ってくれるんですよ。Silent SIRENのひなんちゅも、ラジオに呼んでくれて、雑誌の自分のコーナーにもLUNKHEADのことを書いてくれて。なんか、そういう力で売れねぇかなって(笑)」
――この際、出れるところはどこにでも出よう(笑)。本当に良いアルバムだから。
「ただ出すだけじゃ届かないですからね。じわじわと広めていかないと。望んでそうなったわけじゃないけど、せっかくインディーでやるんで、一個一個ちゃんと武器にして、長く売っていきたいなと思います」