インタビュー

何かが見えてくるダニブラの多彩な仕事あれこれ



自身のスタイルや『Old』のサウンドについて、「あえて言うなら〈インディー・ラップ〉かな」というダニー・ブラウン。実際のところ、いわゆる本道へと乗り入れていくタイプのラッパーとは違って、クリエイティヴな興味の赴くままに続けてきた動きの数々が、それ以降の飛躍を数珠繋ぎ的に手繰り寄せていったような部分は大きい。彼に対するインディー・シーンでの注目が目に見える形で現れはじめたのは、『XXX』の出た2011年のことだ。この年には『Old』のメイン・プロデューサーたるポール・ホワイトとの邂逅もあったわけだが、伝統的なスタイルとの距離の取り方が似ていなくもないダス・レイシストの“Power”に客演し、後に方々で活用されるフロストラダムスのトラップ・チューン“From The Back”に声を活用されてもいる。翌年にはデトロイト・コネクションでハウス・シューズにも招かれつつ、エル・Pの“Oh Hail No”、同郷の面々も数多いアルケミストの『Russian Roulette』、さらにはグライム由来なUKサウンドとの出会いとしてD.O.T.の“You Never Asked”もあった。さらに重要なのは、RZA仕切りのサントラ『The Man With The Iron Fists』(ダニーの狂いっぷりはODBに喩えられることもある!)だろう。ここでのダニーはプッシャーTやレイクォン、ジョエル・オーティスと“Tick Tock”をリレーしているが、『Old』で組むバッドバッドノットグッドともニアミスしていたのだ。



▼関連盤を紹介。
左から、ダス・レイシストの2011年作『Relax』(Greedhead)、フロストラダムス曲を収めたコンピ『All Trap Music』(AEI)、エル・Pの2012年作『Cancer 4 Cure』(Fat Possum)、アルケミストの2012年作『Russian Roulette』(Decon)、D.O.T.の2012年作『And That』(The Beats)、2012年のサントラ作『The Man With The Iron Fists』(Soul Temple)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2013年11月27日 17:59

更新: 2013年11月27日 17:59

ソース: bounce 361号(2013年11月25日発行)

文/狛犬