INTERVIEW(2)――ギルガメッシュの武器
ギルガメッシュの武器
――『MONSTER』は、これまでのギルガメッシュが持っていた要素――初期のラウドな感じや、『MUSIC』(2008年)のエレクトロニックな部分、あとは『GO』(2011年)のスケール感をさらに洗練させた感じがありますね。
Яyo「そうですね。あとは、以前TAKUYA(元JUDY AND MARY)さんにプロデュースしてもらって(シングル“絶頂BANG!!”)、そこで得たことが実になっているところもあります。特に何かを教わったわけではないんですけど、なんでこの人はこんなに音符にこだわるんだろうと思って。それで、いままで感覚でやっていた部分を徹底的に研究したんですよ。レコーディングのデータを開いて、鍵盤とかで起こしてみて、ここに音が入るとこうなるのか、とか。それで音符を自在に操れるようになったんですね。それが結構反映されてると思います。曲はうるさいながらも、ちゃんと広がりを持たせることができたし」
――そうですよね。一曲一曲がドラマティックになっていて。
Яyo「あと、今回のアルバムって前半と後半で分かれてるんですよ。後半のセクションは去年作って、光が見えそうだと思っていた曲を書き直したもの。前半のえげつない曲たちは、今年に入って気持ちが吹っ切れてから作ったんです」
弐(ギター)
――そのえげつない前半のラストが“Resolution”=決意っていうタイトルなのもおもしろいです。で、その次の“BAD END DREAM”からガラッと雰囲気が変わって、ポップな要素が強くなるっていう。
Яyo「拳で始まって、最後は笑顔で終わりたくて。これってやっぱり、俺たちだからできることだと思うんです。アルバム通して前半の曲ばっかりだったら、それはもうそれだけのジャンルでしかないので。“BAD END DREAM”とか意味わかんないですもん。ラップから始まって、ポップなサビがきて、エレクトロがうわーっときて、ジェントのリフが入ったりとか。そういう意味のわからない構成も、俺たちだからできる強みだと思うし、そういう振り幅も見せたいっていう気持ちはありましたね」
――前半のブロックには、リード曲の“Drain”がありますね。
Яyo「今回の俺のテーマにメタルコアがあったんですけど、この曲はダブステップ・メタルコアみたいな(笑)。リズムはダブステップで、ギターはメタルコアとかジェントを採り入れてて。そういうものに、左迅が歌うメロディーをどう入れるか?っていうのは、毎回すごく考えますね。俺が歌謡曲を好きなのもあるんで。だから、えげつないリフになってるんだけど、ちゃんと聴けるんですよ」
――メタルコアとかって、英語のほうがやりやすいときもあるじゃないですか。でも、歌詞は日本語にこだわってますよね。
Яyo「そうなんですよ。だからそういう意味でも俺らは強いんです。日本語詞でもこういうサウンドを引き立てて、カッコ良く聴かせることができるし、言葉もちゃんと伝えられるから」
左迅「海外でライヴをすると、日本語で歌ってるのにお客さんが集まってくれるし、歌詞を覚えていっしょに歌ってくれるんです。それを見て、こういう曲を日本語で歌ってるから、斬新でカッコイイと思ってくれてるんだろうなと思って。そこはギルガメッシュの武器だと思ったんです。だから、日本語は絶対に大事にしなきゃいけないと。でも、それでダサくなったら意味がないんで(笑)、そこは気を遣いましたね。日本語でもハマりのいい言葉だったり、符割にしていて」
愁(ベース)
――先行シングルの“INCOMPLETE”に“VOLTAGE”のデモ音源が収録されてましたけど、あのときの仮歌は英語でしたよね。
Яyo「デタラメの英語ですけどね(笑)」
左迅「作業自体はなんちゃって英語ですることが多かったから、そのイメージをいかに崩さずに歌うか?っていうのは、テーマとしてありました。Яyoといっしょに作業をして、ここは気持ち悪いから響きを変えようって、何回も書き直したりしたし」
――ちなみに“VOLTAGE”は、怒りを原動力にするっていうテーマですけど、それってギルガメッシュらしいですよね。反抗精神だったり、負けず嫌いなところがよく出ていて。
Яyo「歌詞はインスピレーションで書いてもらいたいから内容は任せてるんですけど、やっぱりリンクしてますよね」
左迅「結成当初からほとんどの曲はそういうスタンスで書いてます。曲を聴いて、イメージを広げて行くっていう」
“Live is Life”
後半のポップ・ゾーンに収録。明るく突き抜けていくサビのメロディーが印象的だが、その軽やかさとは裏腹に、歌詞には苦難を乗り越えて生まれた決意が刻まれている。「飼い慣らされるぐらいだったら、すべてを捨ててやるっていう気持ちを込めてますね」(左迅)。
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