INTERVIEW(3)――バンドの10年が詰まった作品
バンドの10年が詰まった作品
――ギルガメッシュって、喜怒哀楽いろんな感情の曲がありますけど、怒がいちばん筆が進みますか?
左迅「いやあもう進みますね! 結成当初は怒りばっかりだったけど、それを吐き出し切ったときに、やっぱりファンのみんなに俺たちのことを見て勇気を持ってもらいたいとか、そういう方向に変化していって。それで10年歩んできたけど、考え方とか心境が初期の頃に戻ったというか」
――Яyoさんはどの感情がいちばん曲を書きやすいですか?
Яyo「あんまりそういうのは考えないですけど、常に怒ってますよ。これからも常に怒ってるんじゃないですかね。どれだけ優しい曲を書いても、たぶん怒ってます」
――優しい曲ですら?
Яyo「なんか、気持ち的には昔に戻れたんですけど、種類がちょっと違うんですよ。いろんなことを学んできたけど、やっぱり自分たちが意志を強く持って、周りに呑まれないようにしないとダメだから。俺はバンドを守りたいんです」
――守るためには戦わないといけない。だから怒らなければいけないと。
Яyo「そうです。だからどんな曲でも怒ってます」
――“Live is Life”の歌詞は、まさにそういう感じですよね。
左迅「そうですね。自分の意志が弱いから、相手のいいように操られるっていう。アルバム全体としてなんですけど、葛藤から答えを見つけ出して、そこから進んでいくっていう、ギルガメッシュが活動休止をしていたストーリーを描いたところもありますね」
――その物語を締め括るラストの“ALONE”ですが、“INCOMPLETE”や“Drain”のMVに砂漠が出てきましたけど、この曲にも砂漠を歩いていくようなイメージがあるんですよね。
左迅「ああ、そうですね。俺の頭の中にあったのは、アメリカ映画によくある感じっていうか。長い一本道があって、両サイドが砂漠でサボテンとかがあって、その道を歩いているメンバー4人みたいな。いろいろあったけど、答えを出して、またここから歩いていこうっていう歌詞にしていて」
Яyo「ライヴの最後にみんなでクラップするようなイメージですね。ギルガメッシュにこういう曲って、あるようでなかったんですよ」
Яyo(ドラムス)
――『MONSTER』は新しい挑戦だったり、ギルガメッシュの最新形を提示した作品ではあるけど、いままで作り上げてきたものを洗練させた部分もあって、すべてが一巡したような印象もあるんです。そんなアルバムが、来年結成10周年を迎えるっていうこのタイミングに完成したことは、すごく美しいなと思っていて。
Яyo「“Drain”“INCOMPLETE”“antlion pit”は今回新しく挑戦したものだけど、“Resolution”とか“Live is Life”は、すでに自分たちの基盤にあったんですよね。それを突き詰めているから、確かに〈バンドの10年が詰まった作品〉っていう言い方もハマるなって思います」
左迅「いろんなことがあって、いろんなことを考えて、いろいろ動いたんだけど、やっぱり人間の根っこの部分って変わんねえんだなって改めて思いましたね。ただ、10年間歩いてきて、その根がすごく強固なものになった。本当にいろんなことを経験したからこそ、バンドの結束力もすごく強くなったし、すべてがレヴェルアップできたなって」
――活動休止期間はありましたけど、もしかしたら休むことも必要だったのかもしれないですね。
Яyo「見つめ直すっていう意味では良かったんだと思います。あのまま突っ走ってたら解散してたと思うんで(笑)。でも、もう迷うことはないし、ファンも裏切りたくないから、よろしく!みたいな感じですね」
左迅「いますごく良い状態だから、来年の10周年は本当に楽しみにしててほしいですね。ベスト盤も出るし、ライヴもめちゃくちゃやりたいし。1年かけてみんなで暴れ回って、10周年をお祭りみたいに祝えればいいかなって」
Яyo「もう毎日が誕生日でいいと思うんですよ。〈ライヴやりてえな〉〈じゃあ1週間後にやろうぜ!〉みたいな感じでいいと思ってて(笑)。10周年イヤーは、はちゃめちゃにやってやりたいですね」
“ALONE”
「温かい雰囲気になれるような曲というか。最後は開けた感じで終わりたかった」(Яyo)――アルバムのラストを飾るのは、アンセムとなるであろうミディアム・ナンバー。アリーナ/スタジアム規模の会場で真価を発揮するような壮大なスケール感に、バンドの成長を感じさせる。