村上春樹、決定版個人全集「村上春樹WORKS」全16巻刊行。約半世紀にわたる作品一挙収録。第1回配本は第8巻「1Q84(全)」
掲載: 2026年09月01日 21:30

村上春樹の個人全集「村上春樹WORKS」全16巻が、新潮社の創立130周年記念出版として刊行される。
村上春樹は1979年に「風の歌を聴け」でデビューして以来、その魅惑に満ちた文章と比類なき物語世界によって多くの読者の熱い支持を受け(そして日本語のみならず50以上の言語に翻訳され)、現代文学のシーンを絶えず更新してきた。その巨大で、謎めいていて、ポップで、不穏で、愉快で、人間の魂のかけがえのなさを描いた、豊饒極まる多彩な作品群を、全16巻に集成して刊行する。
「村上春樹WORKS」は、全著作のうち、ほぼ全ての小説、そして著者自らが精選したノンフィクション、エッセイを集成。半世紀近くに及ぶ多彩な文業の軌跡を堪能できる全16巻となる。単行本で3巻本だった「1Q84」(約3,400枚)や「ねじまき鳥クロニクル」(約2,200枚)等大規模な作品も1巻に収める。安西水丸の絵をあしらい、軽快で堅牢且つ風格ある筒函入豪華愛蔵本。


また、各巻、著者が執筆当時を振り返る「自作解題」付き。さらに、月報として文芸評論家 三宅香帆が全作品を読み直す「村上さんと走る」を連載。
刊行は来年2027年1月から。第1回配本は第8巻「1Q84(全)」となり、以後隔月で刊行される。
■著者からのメッセージ
「なにしろ歳月こそが」
二十九歳のときに生まれて初めて小説(らしきもの)を書き、それが文芸誌の新人賞をとるまで、自分が小説家になるなんてまったく考えもしなかった。しかし受賞の知らせを受けたその時点から、「僕は小説家なのだ」と確信するようになった。性格がただ厚かましいだけなのか、それともそこで僕は「本来の自分を見いだした」ことになるのか、どちらかは今でも判別しがたい。
しかしともあれ、それから半世紀近く、ほぼ休みなく小説を書き続けてきた。書きたいときに書く、書きたくないときは書かない、というのが小説家としての僕の一貫した方針だった。原則として注文は受けない。そのようにいわば気の向くまま、勝手にこつこつ書き上げてきた作品が、全集という改まったかたちになった。積み上げるとけっこうな高さになる。
最初の頃のものと、あとになってからのもの、年を経るにつれて作品の中身も文体もずいぶん変化を遂げている。そしてそれに合わせて、僕自身ももちろん変化を遂げた。いや、それともその逆なのか。僕の変化に合わせて作品もそれなりの変化を遂げたのか? いずれにせよ、できるだけ長くこれらの作品が人々の手に実際に取られ、読み継がれていくといいなと思う。なにしろ歳月こそが、作品の値打ちを判定するものなのだから。
―― 村上春樹
■推薦コメント
井戸の底に、深い森に、ひとりの部屋に、風に季節に、村上春樹の文章は、見えないもの、名づけられないものを映してきた。その言葉にふれるたび、世界は輪郭を変え、わたしたちは何度でも、見知らぬ懐かしい風景へと降りていく。ここにあるのは物語だけが辿り着くことのできる夢であり、本当であり、それは遥かな時間をかけて紡がれ届けられた、まったくの贈り物なのだ。
―― 川上未映子(作家)
『ドライブ・マイ・カー』脚本執筆は不思議な体験で、3つの短編を結び合わせるうちに、思いがけずより一層深い「村上春樹的世界」と出会った。「物語」というものの底知れなさを知る体験だった。この全集を読む者は誰しも、底なしの海に潜ることになる。
―― 濱口竜介(映画監督)
改めて、文字や文章を書く事の作業って凄いなぁと思う。リズム良く気持ち良いねェと思って読んでいると、いつの間にか『現実のリアリティとファンタジー』が同時にやって来ている。
お互いに対極であるはずのモノが一緒に文章の中に。
文字は奇妙な世界を進んで行く「スタンド」って訳だ。
創作の全体像を見渡せる「村上春樹WORKS」は本当に嬉しい。
―― 荒木飛呂彦(漫画家)
村上春樹は、ずっと事件で、ずっと日常だった。私自身も、装飾的でないのに魅力的な日本語(どうしたら、こんなことができるかは未だに謎)に、惹かれ続けてきた一人だ。元祖、考察されがちな人。それでも、考察されつくせない人。ヲタクにもミーハーにも愛される人。『村上春樹WORKS』はまた事件となり、日常となっていくだろう。
―― 俵万智(歌人)
▼書籍情報
村上春樹
「村上春樹WORKS第8巻 1Q84(全)」
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