幻想的なサウンドの奥に潜むNYパンクの魂
日本人女性のカズ・マキノとイタリア出身の双子であるアメデオ&シモーネのパーチェ兄弟から成る3人組、ブロンド・レッドヘッド(グループ名はノーウェイヴを代表するバンド、DNAの曲タイトルから取られている)。93年の結成以降、彼らはフリーキーでパンキッシュなロックンロールを掻き鳴らしながら、NYのアンダーグラウンド・シーンで名を上げていった。バンドにとって転機となったのが、2000年代に入ってからの4ADとの契約だ。移籍後第1弾となる2004年作『Misery Is A Butterfly』で、キーボードやサンプリングを多用した耽美かつメロディアスなサウンドへとシフト。アルバムはバンド史上最高のセールスを記録する。彼らの変身ぶりは一見意外なようにも思えるが、よく聴けば、その幻想的(4AD的)なサウンドの奥にNYパンクのアーティスティックなエッセンスが息づいていることがわかるはずだ。そして、新しい方向性に自信を深めた『23』を経て3年ぶりにリリースされたニュー・アルバム『Penny Sparkle』では、ますます深みを増したサウンドとカズの官能的な歌声が冴え渡っている。キャリアといい、実力といい、4ADのNY支部長は間違いなく彼らだ。
▼関連盤を紹介。
左から、“Blonde Red Head”を収録したDNAのベスト・アルバム『DNA On DNA』(No More)、ブロンド・レッドヘッドの2004年作『Misery Is A Butterfly』、同2007年作『23』(共に4AD)