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ストーンズ・スロウ15周年!!

連載
Discographic
公開
2011/05/27   23:25
更新
2011/05/27   23:25
ソース
bounce 330号 (2011年3月25日発行)
テキスト
文/出嶌孝次

 

西海岸アンダーグラウンドの総本山? ヒップホップの良心? いやいや、そんなことも言ってられない状況になってきてます! ……ということで、10周年をターニングポイントに大きく振り幅を広げ、ドラスティックな変化を遂げたレーベルの恐るべき5年間をスロウバックしてみよう!

 

ストーンズ・スロウが設立から10周年を迎えた2006年末、bounceでは一度レーベルの歩みをまとめて紹介しているのだが、そこには以下のように書かれている。

——流行を作り、またある種の流行とは無縁のスタンスを取りながら、いまも〈その先〉を期待させてくれる彼らの、偉大なる10年を振り返ってみよう——

ありきたりなまとめの文章で恐縮ではあるが、2007年からのレーベルの動きがまさに〈その先〉を貪欲に開拓するものだったということに、改めて感じ入っている次第だ。不慮の死を遂げたカリズマの12インチ・シングル“My World Premiere”を第1弾リリースとして、ピーナッツ・パター・ウルフ(以下PBW)が96年にスタートさせた当初のストーンズ・スロウは、賑わいはじめた西海岸アンダーグラウンド・ヒップホップの動きを反映したヘッズ信頼のブランドだった。その後はルートパック~カジモトの人気をきっかけに台頭したマッドリブが奇才ぶりを発揮し、彼の実弟オー・ノーや、LAに移住してきたJ・ディラとの絆も深めてラインナップを刷新。さらにはA&Rのイーゴンがディガー気質を存分に発揮したサブレーベルのナウ・アゲインを立ち上げ、ヒップホップを起点に広がる幅広い音はより広いリスナーからの支持を獲得していった……というのが10周年頃までの状況だろう。

そして、そこから今回の15周年に至るまでの歩みは、さらに輝かしいものとなった。宇宙カップルのジョージア・アン・マルドロウとデクレイム、あるいはロックCといった有望株は独立したものの、デイム・ファンクやジェイムズ・パンツのブギー~コズミック志向は新たなレーベルの看板となり、ソウル・シンガーたちの活躍も脚光を浴びている。ナウ・アゲインもドス黒い新録作品を連発するようになり、その陣容は多彩に拡大している真っ最中だ。で、今回はますます〈その先〉が期待できるレーベルの、濃密すぎる5年間を振り返ってみよう。

 

▼ストーンズ・スロウの作品を紹介。

左から、カリズマ&ピーナッツ・バター・ウルフの編集盤『Big Shots』、ピーナッツ・バター・ウルフの98年作『My Vinyl Weighs A Ton』、ジェイリブの2003年作『Champion Sound』、J・ディラの2006年作『Donuts』、ジョージア・アン・マルドロウの2006年作『Olesi: Fragments Of An Earth』、ダッドリー・パーキンスの2006年作『Expressions(2012 a.u.)』、ロックCの2006年作『All Questions Answered』(すべてStones Throw)

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