PAUL WHITE 『Paul White And The Purple Brain』 Now-Again(2010)
かのブリオンを擁するワン・ハンディッドにおいても屈指のネタ職人としてグルーヴを自在に操っている南ロンドンのビートメイカー。オリエンタル味のドロリとしたサイケデリアのなかを脈打つファンクネスに、イーゴンが反応したのも納得。*入江
THE WHITEFIELD BROTHERS 『Earthology』 Now-Again(2010)
〈アフロ〉〈エスノ〉〈サイケ〉のどの要素も充満する様子がナウ・アゲインの現行ディープ・ファンク路線を象徴する、ドイツのユニット。フェラ・クティ風からマイルス的ファンクまで雑多だが、猥雑でなく実はセンス良くまとまっているのもニクイ。*池谷
RIKKI ILILONGA & MUSI-O-TUNYA 『Dark Sunrise』 Now-Again(2010)
アフリカを掘り進めたイーゴンは、ついにザン(ビア産)ロックの秘境に到達した。70年代に活躍したリッキ・イリロンガらの音源をパックした2枚組なのだが、60年代USロック汁を濃縮したサイケ世界にKO。ジミヘンばりのギターも凄いぜ! *出嶌
DAM-FUNK 『Toeachizown』 Stones Throw(2009)
西海岸G界にて90sから裏方仕事をこなしてきたモノホン・プレイヤーのフューチャー/モダン・ファンク盤。レーベルの築いてきたインディー・ヒップホップ・クラスタの更新と拡張、それと並行したフライング・ロータスら〈Low End Theory〉周辺の動きも相まって、世界中の早耳がLAに傾けられていた絶好のタイミングで投下された本作は、好事家の予想を上回る浸透を見せてディスコ・ブギー再考の起点ともなった。以降もスヌープやスティーヴ・アーリントンと邂逅したり、ナイト・ジュエルとの合体でシンセウェイヴと共振したり、いまやアイコンと化した彼の宇宙旅行からは当分目が離せない。*入江
ALOE BLACC 『Good Things』 Stones Throw(2010)
MC兼シンガーとしてデビューした初作『Shine Through』にはマッドリブやオー・ノーの楽曲提供もあり、その後Cradleとユニットを結成するなど、クールでジャジーなヒップホップ・サウンドを纏う印象の強かった人だが……NYのトゥルース&ソウルと組んだ本作で聴けるのは、エル・ミシェルズ・アフェアの南部めかしたサウンドに味のある歌唱が染み込んだヴィンテージ・ソウル。“I Need A Dollar”のヒットやヨーロッパ・ツアーを経て、こなれたパフォーマンスで本物のソウルマンぶりを示した来日公演も記憶に新しい。メイヤー・ホーソーンに続くストーンズ・スロウのモダン・ソウルスターだ。*池谷
ANIKA 『Anika』 Stones Throw(2010)
ポーティスヘッドのジェフ・バーロウが所属するビークがプロデュースしたダビーな前衛ロック作。暴力的で粗削りなサウンドと神経質そうな歌声。ボブ・ディランやオノ・ヨーコをカヴァーした意外性も含め、実験色の濃さがニューウェイヴ的で、レーベルとしてもかなり変わり種かも。*田中
TONY COOK 『Back To Reality』 Stones Throw(2010)
これぞ時代を超えたエレクトロ・ブギーの架け橋。JB'sのドラマーとして活躍した生ける伝説の80年代未発表音源を、ストーンズ・スロウ・クルーが絶妙に再構築。当時の空気をしっかりと踏まえながら現行シーンの新鮮な息吹を注入した、洗練された音作りが頼もしい。*佐藤
J. ROCC 『Some Cold Rock Stuf』 Stones Throw(2011)
2000年代初期にレーベル入りし、ジェイリブ第3の男と言われた西海岸地下界のヴェテラン。ドキュメンタリー「Secondhand Sureshots」でいちばん良いビートを作ってた人……というのは完全なる私見ですが、この待望の初作も流石のサンプリング巧者ぶりで魅せる。*池谷
VARIOUS ARRTISTS 『Those Shocking, Shaking Days』 Now-Again(2011)
辺境レアグルーヴも追求するナウ・アゲインが今作でターゲットに選んだのは70年代のインドネシア。かの地のガレージ、サイケ、ファンク、プログレをイーゴンみずから筋の通った選球眼でセレクトし、単なるモンド趣味でなく純粋な格好良さを抽出している。*池谷