NEWS & COLUMN ニュース/記事

ストーンズ・スロウ15周年!!

ディスクガイド――(1)

連載
Discographic
公開
2011/05/27   23:25
更新
2011/05/27   23:25
ソース
bounce 330号 (2011年3月25日発行)
テキスト
ディスクガイド/池谷昌之、入江亮平、金 雄大、佐藤大作、田中直樹、出嶌孝次

 

VARIOUS ARTISTS 『Peanut Butter Wolf Presents 2K8:  B-Ball Zombie War』 Stones Throw/Decon(2007)

人気ゲーム「NBA 2K8」のサントラも兼ねたショウケース盤。Q・ティップ&タリブ・クウェリを迎えたディラの“Lightworking”などラップ曲が充実する一方、デイム・ファンクらの新顔も参加。転換期を反映した一枚だろう。*出嶌

PERCEE P 『Perseverance』 Stones Throw(2007)

80年代後半からD.I.T.C.周辺で活躍するブロンクスの伝説的MC、パーシーPのファースト・アルバム。マッドリブによるトラックももちろん最高なのだが、長年陽の目を見なかった思いを爆発させるかのような、男気に溢れた切れ味鋭いラップに圧倒される。*金

GUILTY SIMPSON 『Ode To The Ghetto』 Stones Throw(2008)

ジェイリブ“Strapped”にてフックアップされ、その後一気にカリスマMCに昇り詰めたギルティ・シンプソンの初作は、マッドリブとJ・ディラの2人に、オー・ノー、ブラック・ミルク、Mrポーターなど地元デトロイトとLAの気鋭が脇を固めた豪華な布陣に。そんなメンツが揃ったのも主役のリアルなスキルのなせる業! 典型的なディラ・ビートの名曲“I Must Love You”など、太く粘っこいラップの格好良さを堪能できる一枚となっている。なお、ギルティはディラ没後も故郷とカリフォルニアとの架け橋として活動し、昨年はマッドリブとのタッグ作『OJ Simpson』を発表。そちらも傑作につき聴き逃し厳禁! *金

THE HELIOCENTRICS 『Out There』 Now-Again(2007)

ナウ・アゲインが新録路線へと踏み出すきっかけになったマルコム・カットのバンド・プロジェクト。この後にムラトゥ・アスタツケとのコラボで名を上げる面々だが、サイケなファンク・サウンドはこの時点で十分にグル−ヴィーだ。MC参加の次作もホット! *出嶌

BUMPS 『Bumps』 Stones Throw(2007)

トータス不動のリズム隊3名によるブレイクビーツ作。ジャズやMPB、アフロビートのリズムをどう咀嚼するかという意識は本隊だと幾分スマートに映ることもあるが、ここでのそれは露骨で野蛮。ロウで滾るグルーヴはスリル・ジョッキーではなくストーンズ・スロウがよく似合う。*入江

KOUSHIK 『Out My Window』 Stones Throw(2008)

DJプレミア的太さにサイケな要素を持ち込んだEPで当時俄然注目を集めていたコウシックのファースト・フル・アルバム。今作では自身の歌声も披露して圧倒的なサイケ・ポップを展開、リスナーを唖然とさせた。こういうリリースはストーンズ・スロウならでは! *金

ARABIAN PRINCE 『SInnovative Life: The Anthology 1984-1989』 Stones Throw(2008)

アラビアン・プリンスと並ぶ西海岸エレクトロの“Innovator”で、NWAの初期メンバーでもあったレジェンドの編集盤。代表的なヒットからNWAでの“Panic Zone”、プロフェッサーX名義の曲までが一望できる、PBWの敬意も窺える逸品だ。*出嶌

JAMES PANTS 『Welcome』 Stones Throw(2008)

デイム・ファンクと共にレーベルの新たな幕開けを印象付けた、クルーきっての個性派による初作。ギターもピアノも弾けて、ドラムも叩くし歌もOK……というマルチな才能を開花させ、後のミックスCDでもあきらかにされるエレクトロ、ディスコ、ガラージ、ニューウェイヴ、パンク、サイケ・ロックといった〈音楽オタク〉ならではのマニアックな趣向を隠すことなく自己流スタイルのブギー・ファンクに注入。トリッピーなアナログ・シンセにチープなビート感……頭でっかちになることなく、あくまで初期衝動を楽しんでシコシコとめいっぱい音を出しているのが伝わり、その愉快痛快さに惚れます! *佐藤

OMAR RODRIGUEZ-LOPEZ 『Old Money』 Stones Throw(2009)

もともとサイケやアフロビートを我流に鳴らすギタリストであるから、ストーンズ・スロウとの邂逅はごく必然!? ただマーズ・ヴォルタというせっかくの名前を使ったほうが……なんて野暮なことを言いたくなるくらい、本作に宿る熱量の高さは凄まじい。*入江

RELATED POSTS関連記事