ショルティ&コヴェントガーデン~ワーグナー“神々の黄昏”第3幕 1963年ステレオ録音、世界初出!
ワーグナー録音史は、ショルティ抜きでは語れません。そんな巨人、ショルティですが、そのキャリアにおいてすべてが順風満帆だった訳ではありません。音楽監督を置かずに運営されてきたコヴェントガーデンに就任し、そこには解決すべき問題が山積されていました。ショルティの就任当時、まだコヴェントガーデンは世界一流の歌劇場とは認識されておらず、上演されるオペラはイギリス人歌手が英語で歌うというポリシーが貫かれていました。ショルティはまず、この慣習を一新、原語による上演と世界中から一流歌手を招聘することに着手します。そうした、まさにゼロからのスタートで、“指環”チクルスを完結されるのがどれほどの難仕事であったかは想像に難くありません。
しかも、このコヴェントガーデンでの“指環”と並行して、録音史上の金字塔となるウィーン・フィルとのスタジオ録音も行われていました。こちらもすべてにおいて初の試みであり、録音時には多くの困難があったことが伝えられています。今回リリースとなる“神々の黄昏”第3幕は、そうした中、コヴェントガーデンでの上演前のドレス・リハーサル的意味合いを含み演奏されたものです。“神々の黄昏”としては、ショルティが初めて公式に演奏した場でもありました。
当日の演奏は、特にビルギット・ニルソンの歌唱が多くの称賛を集め、全体としても大変高く評価されました。この高評価を経て、コヴェントガーデンのチクルスの完成、さらにはデッカ録音の成功へと繋がって行きます。このコンサートは、その後のワーグナー録音史の流れを決める分水嶺とも言える瞬間だったのです。
(TESTAMENT)
【収録曲】
リヒャルト・ワーグナー:
楽劇「神々の黄昏」第3幕
【演奏】
ブリュンヒルデ…ビルギット・ニルソン
ジークフリート…ヴォルフガング・ヴィントガッセン
ハーゲン…ゴットローブ・フリック
グートルーネ…マリー・コリアー
グンター…トーマス・スチュアート
ヴォークリンデ…バルバラ・ホルト
ヴェルグンデ…ギネス・ジョーンズ
フロースヒルデ…モーリーン・ガイ
コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
ダグラス・ロビンソン(合唱指揮)
ヴィルヘルム・ピッツ(合唱リハーサル)
チャールズ・テイラー(コンサートマスター)
ゲオルグ・ショルティ(指揮)
【録音】
1963年9月6日 ロイヤル・アルバート・ホール、ロンドン(ステレオ)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2015年09月07日 12:42