『激ロック』スペシャルコーナー【10月レコメンドアイテム】
EVANESCENCE / 『Synthesis』
GENRE : SYMPHONIC METAL, GOTHIC ROCK
美しすぎるフル・オーケストラのハーモニーと絶妙なエレクトロ・アレンジが生み出す
あたたかで崇高な異次元のサウンド!
今作は、これまでの名曲をオーケストラ、エレクトロニクス・アレンジにしたものと、新曲が2曲という内容だが、新たな解釈による楽曲のアレンジの数々は本当に新鮮で面白い。Amy Lee(Vo)がソロ活動でバンド・サウンドとはまったく違った方向性の楽曲にトライしていたこともあり、これまでとは趣の違う、オーガニックで人間味溢れる歌唱やアレンジが印象的。フル・オーケストラによる壮大なサウンドは、もともとドラマチックだった彼らの楽曲にさらに、繊細で美しい深みを与えている。エレクトロの要素も、ヘヴィでゴシック的なデジタル・サウンドというよりは、ストリングスやピアノの音をより引き立てる楽器のような役割を果たしている。もはや、ロックとかメタルとか、そういう次元を超えた崇高な音楽だ。
山本 真由【ライター推薦】
ALAZKA / 『Phoenix』
GENRE : POST HARDCORE
ATTILAやDON BROCOらが所属するSharpTone Recordsに移籍!
ドイツのポスト・ハードコア・バンドによる心の琴線に触れるニュー・アルバム!
今年3月に改名を発表、ATTILAやDON BROCOらが所属するSharpTone Recordsに移籍したドイツのポスト・ハードコア・シーンの至宝、BURNING DOWN ALASKAもといALAZKAが、改名後初となるフル・アルバムをリリース! アルバム名の日本語訳“不死鳥”の如く、復活後もその音楽性は変わらず、叙情的なポスト・ハードコアをもとに、心が洗われるような美しいメロディ・ラインが全編にわたって展開されている。キラー・チューンTrack.11「Blossom」を筆頭に、ちょっとビターで大人の色気溢れる歌唱に、ふと涙が出てしまうような琴線をくすぐるフレーズの調和センスが絶妙であり、改名後初のフル・アルバムとなる本作もまた、間違いなく捨て曲なしの名盤だと言えよう。
宮久保 仁貴【ライター推薦】
ACROSS THE ATLANTIC / 『Works Of Progress』
GENRE : POP PUNK, EASYCORE
豊かなバックグラウンドを反映させたカテゴライズ不可能な個性派バンド!
完成2日前に世界デビュー作になることが決定した奇跡の会心作!
テキサス州出身、ポップ・パンクやイージーコアをベースに、様々な音楽的要素を併せ持った期待のニューカマー、ACROSS THE ATLANTICが待望の2ndアルバムをドロップ! 日本語に訳すと“大西洋を渡る”と、壮大なバンド名を持つ彼らだが、その名に恥じず、今作は先人たちが培ってきたポジティブなポップ・パンク・サウンドを踏襲しつつも、Track.6「24Hours」に見られるような、エモやポスト・ハードコア由来の哀愁溢れるフレーズや、Track.11「Blind Eyes」のように、メタルコアやハードコアの持つアグレッシヴなリフワークも垣間見せ、ジャンルの壁をまさに“横断”した大御所感溢れるサウンドを奏でている。彼らの魅力を余すところなく詰め込んだ快作だ!
宮久保 仁貴【ライター推薦】
THOUSAND BELOW / 『The Love You Let Too Close』
GENRE : POST HARDCORE, EMO, SCREAMO
洗練されたサウンドでキッズから耳の肥えたエモ/スクリーモ・ファンまで虜にするデビュー・アルバム!
サンディエゴ出身、活動歴は浅いながらも、その完成されたサウンドにより、シーンの注目を集めるTHOUSAND BELOWが、名門Rise Recordsから待望のデビュー・アルバムをリリース! 哀愁溢れるギターのアルペジオに、それに寄り添う形で非常に繊細且つ激情的なスクリームとクリーン・ヴォイス、まるで2000年代のエモ/スクリーモ黄金期のバンドを彷彿とさせつつも、模倣に止まらない洗練されたサウンドを奏でており、バンドの代表曲であるTrack.2「Tradition」にて、彼らのサウンドが持つ深みと幅の広さを体感できると言えよう。昨今のポスト・ハードコア・キッズはもちろんのこと、一度シーンを卒業してしまった耳の肥えたエモ/スクリーモ・ファンをも呼び戻すかのような名盤!
宮久保 仁貴【ライター推薦】
SATYRICON / 『Deep Calleth Upon Deep』
GENRE : BLACK METAL
ノルウェイジャン・ブラック・メタルの代表格、静かな狂気を生み出す4年ぶりの新作!
ノルウェイジャン・ブラック・メタルの代表格、4年振りとなる最新作である。通算では9枚目となる本作においても基本路線は近年の作風から大きく外れることはなく、ミディアム・テンポの楽曲を中心に構成され、彼らにしては珍しく哀愁漂うギター・フレーズ、さらにはサックスやストリングスの導入といった要素もあるが、軸となるのはフロントマンSatyr(Vo/Gt/Ba/Key)による、この世の憎悪をすべて吐き出すが如きカリスマティックなヴォーカルと、単なるブラストビート連打、といったようなドラマーとは次元の違うグルーヴを生み出すFrostのドラムスだ。荒涼とした、寒々しい夜を現出せしめるSATYRICONならではの世界観は、凡百のヘヴィ・ロックには絶対に宿らない、静かな狂気を生み出すのである。
井上 光一【ライター推薦】
NO WARNING / 『Torture Culture』
GENRE : ROCK, PUNK, HARDCORE
12年ぶりのシーン復帰作はハードコアの枠を痛快にはみ出しまくりでやりたい放題!!
前作『Suffer,Survive』のリリースで、華々しくシーンに登場し日本でも話題となったカナダのハードコア・バンド、NO WARNINGの12年ぶりとなる復活作。その後、バンドは活動を停止し、フロントマンのBen Cook(Vo)はFUCKED UPのメンバーとして成功を収めるなど経験値を積んだ。作品の根底に流れているのはハードコアだが、スラッシュ・メタルのテイストに溢れる「Headless」、80年代のHM/HRやグランジの空気を含んだバラード「Sanctuary」など作品の流れを逸脱する楽曲もあり、やりたい放題感がたまらない。一筋縄ではいかぬ作品だが、確かな才能を感じる内容だ。メンバーが普段から根城にしていた元食肉工場でレコーディングされた今作。ひんやりとした独特な空気を持つサウンドには狂気すら感じる。
澤田 修【ライター推薦】
SONS OF APOLLO / 『Psychotic Symphony』
GENRE : HARD ROCK, HEAVY METAL
泣く子も黙るスーパー・プレイヤー大集結!テクニックとフィーリングの完璧なハイブリッド作をリリース!
問答無用。プログレ・メタルのマスターピース。さらに、DREAM THEATERほど複雑な構成ではないものの、Mike Portnoy(Dr)とDerek Sherinian(Key)のサウンドが全面的に主張されており、10分の大曲をあっという間に聴かせるテクニックはさすがの一言。何より、80年代のHR/HMを彷彿させる雰囲気とヘヴィ・ロックを掛け合わせたSOAならではのハイブリッド感と憂いを帯びたメロディは、往年プログレ・ファンでなくとも大変聴きやすい内容になっているのが特徴だ。それぞれが名プレイヤーであるだけに、ファンが欲する手癖やテクニカルな面のハードルは高いだろうが、その期待にも十分応えている。この作品が世界中のロック・リスナーに与える影響の大きさは計り知れない。
KAORU【ライター推薦】
SLEEPING WITH SIRENS / 『Gossip』
GENRE : ROCK
天使のようなハイトーン・ヴォーカルをモダンなロック・サウンドに乗せた
最高にキャッチーでポップなメジャー・デビュー作!
米フロリダ出身のオルタナティヴ・ロック・バンド、SLEEPING WITH SIRENSの5作目となる新作。ONE OK ROCKのサポートとして2015年に初来日、激アツなパフォーマンスを繰り広げ、我々の度肝を抜いたのは記憶に新しい。名門レーベルRise Records、Epitaph Recordsなどを経て、多数のファンの心を鷲掴みにしてきたが、今作でメジャーのワーナー・ブラザーズと契約し、まさに飛躍の1枚と言える。これまではポスト・ハードコアなどと形容されることもあったが、今作ではプロデューサー David Bendethとタッグを組んだことも相まって、驚くほど多彩な音楽性に富んだ、エモーショナルな作品に仕上がっている。「Legends」の美しいヴォーカル・ラインだけですでに一聴の価値あり。
関口 裕之【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM) PUNK/EMO
掲載: 2017年10月18日 14:11