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「リラの香しさ」ソ連の名ピアニスト『ヴラディーミル・ソフロニツキーの芸術』(34枚組)

ソフロニツキーの芸術

その詩的芸風が「リラの香しさ」と讃えられたソ連の名手
ソフロニツキー(1901~1961)の録音が一挙に手に入るBOX

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ヴラディーミル・ソフロニツキーは1901年5月8日サンクト・ペテルブルク生まれのピアニスト。1961年8月29日、モスクワで亡くなりました(60歳)。

9歳より当時ロシア領だったワルシャワでアレクサンデル・ミハロフスキ(1851~1938、イグナーツ・モシェレス門下)に師事、1916年からペトログラード音楽院でレオニード・ニコライエフ(1878~1942、ワシーリー・サフォーノフ門下)のクラスに学びました。ディミトリー・ショスタコーヴィチやマリヤ・ユーディナとは同級生でした。

1919年から本格的に演奏活動を始め、1928年にはフランスに生涯唯一となる演奏旅行をしました。他の外国での演奏機会は1945年のポツダム会談時に首脳たちの前でコンサートをしたときだけでした。このように西側でほとんど演奏活動を行わず、録音もCD時代になってようやく聴かれるようになったため、西側では長く「幻のピアニスト」の状態が続きました。しかし、彼はソ連最高のピアニストたち、ネイガウス、リヒテル、ギレリスらが称賛を惜しまないほどの実力の持ち主でした。

ソフロニツキーは形式的な解釈をあざ笑い、ひたすら自己の音楽を追求し、演奏前には緊張のあまり口もきけなくなり、終演後は悔恨にくれるという人物だったとのことですが、それは演奏にも表れています。即興的でニュアンスに富んだ雰囲気と、軽く柔らかいタッチは「リラの香しさ」と讃えられました。

バロックから20世紀作品まで幅広いレパートリーを持ち、特にアレクサンドル・スクリャービン(1872~1915)の演奏には定評がありました。彼はスクリャービン未亡人ヴェーラによって、スクリャービンの後期作品の最も正統的な演奏家として認められていました。1920年には長女のエレナと結婚しています(1945年頃に離婚)。1946年には20歳下の教え子と再婚。二人の娘のヴィヴィアナ・ソフロニツキー(1960~)はカナダやオランダへの留学を経て、現在はカナダを拠点にクラヴィーア奏者として国際的な活動を続けています。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)

カテゴリ : ニューリリース | タグ : ボックスセット(クラシック)

掲載: 2019年11月21日 00:00