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ホリガー&バーゼル室内管/シューベルト:交響曲全集が日本独自企画でSACDハイブリッド化!

ホリガー
2020年8月23日 バーゼル、シュタットカジノでの定期公演にて。この演奏会はホリガーによるシューベルト・ツィクルスの最終回だった。コロナ下ゆえに観客もマスクを着用している。(Photo: Roland Schmid)

これまでにはなく、今後も生まれない、真実のシューベルト。
日本盤のみハイブイッドディスクでの発売 日本先行全集発売

世界的なオーボエ奏者であり、独自の語法を持つ作曲家であり、そして聞き古された作品から新たな美を見出すことができる卓越した指揮者―――ここ数年、マルチ・ミュージシャンとしての多彩な活動がクローズアップされているハインツ・ホリガー。ホリガーの指揮といえば、これまでレコーディングされていたのは、いわゆる「吹き振り」のほかは現代音楽が中心でしたが、ケルン放送響とのシューマンの交響曲・管弦楽・協奏曲全集(audite)やヴィンタートゥール・ムジーク コレギウムとのメンデルスゾーンの交響曲第3番・第4番(MD+G)、あるいはシュトゥットガルト放送響とのケクランやドビュッシーのオーケストラ作品(SWR)など、ロマン派やスタンダード・レパートリーにおける指揮者としての凄さが刻印された録音が次々と発売されています。

当アルバムは、2019年5月のホリガー80歳の誕生日を寿ぐべく2017年から開始されたホリガーとバーゼル室内管弦楽団によるビッグ・プロジェクト、シューベルトの交響曲全曲演奏と並行して実現したレコーディングです。2017~20年にかけて交響曲8曲・序曲4曲に加え、シューベルトにインスパイアされたスイスの作曲家ローランド・モーザーによる作品までを収録しています。ホリガーはシューベルトの交響曲の特質について、「マーラーと同じで、可愛らしい響きや、ウィーンの酒場でワインを飲み明かすような世俗性が、一瞬にして恐ろしい死の淵をのぞかせる音楽。明るい色彩感は常に暗闇や深淵と隣り合っている」と指摘し、ピリオド楽器を使用することで「響きの透明感を実現できる。シューベルトでは一つのメロディが舞台上の登場人物のように、さまざまなグラデーションによるライトを当てられ、異なった陰影を纏う。まるで響きを細密に透過分析するかのようだ。あらゆる波長の音がクッキリと聞こえてくる。トゥッティのパッセージでもテクスチュアは決して分厚くならない。これは私が理想とする音楽作りでもある」と語っています。

アントニーニとのベートーヴェンやハイドンでその充実ぶりを存分に披露してきたスイスの名チェンバー・オーケストラ、バーゼル室内管弦楽団も、あらゆるパートに命がこもり、きびきびと躍動感あふれる演奏でホリガーの指揮に応えています。バロック音楽ではピリオド楽器との持ち替えもやってしまうほどあらゆる時代の演奏様式に通じているバーゼル室内管ならではで、弦楽パートはクラシカル・ボウとガット弦を使用し、ヴァイオリンを両翼に分け対向配置、ホルン、トランペット、ティンパニにはピリオド楽器を導入し、当時の管弦楽編成や演奏法を採り入れ、斬新な響きのバランスや和声の美しさを際出たせています。

録音セッションはベルン郊外の由緒あるホテル「ラントガストホフ・リーエン」内にあるホール(500席)と、1935年建立のカトリック教会をコンサートホールに2018~20年にリノベーしたドン・ボスコ音楽文化センター内のパウル・ザッハー・ザール(客席数500、同センター内にはホリガーの名を冠した50席のオーディトリアムもあります)で収録されており、明晰かつ木質の温かみのあるサウンドが、ホリガーとバーゼル室内管の名演を伝えてくれます。

ヤーコブス&Bロック管(ペンタトーン)、ガーディナー&オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク(Soli dei Gloria)、ヘレヴェッヘ&アントワープ響(ペンタトーン→Phi)、マナコルダ&カンマーアカデミー・ポツダム(ソニー・クラシカル)など、ピリオド楽器もしくはHIPスタイルによる個性あふれるシューベルトの交響曲の名演盤が以前にも増して目白押しで、シューベルトの交響曲解釈のルセサンスを思わせるかのような昨今ですが、ホリガーとバーゼル室内管による当シリーズはその中でも一際大きな存在感を示しています。

48ページのライナーノーツ:
(1)舩木篤也「管弦楽の復権 ホリガーの耳と目が捉えた新しいシューベルト」
(2)ローマン・ブロートベック「ハインツ・ホリガーのシューベルト交響曲全集に寄せて」
(3)ハインツ・ホリガー、シューベルトを語る(2017年インタビュー)
(4)ハインツ・ホリガー(指揮)バーゼル室内管弦楽団による「シューベルト・チクルス」演奏記録
(ソニーミュージック)

【曲目】
シューベルト
FRANZ SCHUBERT 1797-1828

[DISC 1] 66:47
1. 歌劇「フィエラブラス」 D 796:序曲 8:48
Ouverture zu der Oper Fierrabras D 796

交響曲 第5番 変ロ長調 D 485 29:19
Sinfonie Nr. 5 B-Dur D 485
2. I. Allegro 7:07
3. II. Andante con moto 9:37
4. III. Menuetto. Allegro molto - Trio 4:33
5. IV. Allegro vivace 7:56

交響曲 第1番 ニ長調 D 82 28:40
Sinfonie Nr. 1 D-Dur D 82
6. I. Adagio - Allegro vivace 11:55
7. II. Andante 6:22
8. III. Menuetto. Allegretto 4:03
9. IV. Allegro vivace 6:13

[録音]
2018年6月19~21日、スイス、バーゼル、ラントガストホフ・リーエン

[DISC 2] 76:14
交響曲 第3番 ニ長調 D 200 24:50
Sinfonie Nr. 3 D-Dur D 200
1. I. Adagio maestoso - Allegro con brio 9:37
2. II. Allegretto 4:26
3. III. Menuetto. Vivace 4:08
4. IV. Presto vivace 6:38

5. 歌劇「悪魔の別荘」 D 84:序曲 8:58
Ouverture zu der Oper Des Teufels Lustschloss, D 84
6. 歌劇「アルフォンソとエストレッラ」 D 732:序曲 7:10
Ouverture zu der Oper Alfonso und Estrella, D 732

交響曲 第2番 変ロ長調 D 125 35:04
Sinfonie Nr. 2 B-Dur D 125
7. I. Largo - Allegro vivace 14:41
8. II. Andante 8:12
9. III. Menuetto. Allegro vivace - Trio 3:10
10. IV. Presto vivace 8:59

[録音]
2019年8月21~22日、スイス、バーゼル、ドン・ボスコ音楽文化センター、パウル・ザッハー・ザール(1-4)
2019年6月6~7日、スイス、バーゼル、ラントガストホフ・リーエン(5-10)

[DISC 3] 73:06
1. イタリア風序曲 ニ長調 D 590 8:05
Ouverture (im italienischen Stil) fur Orchester D-Dur D 590

交響曲 第6番 ハ長調 D 589 33:29
Sinfonie Nr. 6 C-Dur D 589 "kleine C-Dur"
2. I. Adagio - Allegro 9:54
3. II. Andante 6:08
4. III. Scherzo. Presto - Trio. Piu lento 6:27
5. IV. Allegro moderato 10:58

交響曲 第4番 ハ短調 D 417 「悲劇的」 31:22
Sinfonie Nr. 4 c-Moll D 417 "Tragische"
6. I. Adagio molto - Allegro vivace 9:49
7. II. Andante 7:31
8. III. Menuetto. Allegro vivace - Trio 3:11
9. IV. Allegro 10:49

[録音]
2018年10月18~20日、スイス、バーゼル、ラントガストホフ・リーエン

[DISC 4] 60:46
1. アンダンテ ロ短調 D 936a (ローラント・モーザーによる管弦楽編曲版) 11:21
Andante h-Moll D 936a
Andante in B minor
nach den Entwurfen aus dem Spatherbst 1828 in ein fragmentarisches
Klangbild fur Orchester gesetzt von Roland Moser (1982)

交響曲第7番 ロ短調 D 759 「未完成」 26:54
Sinfonie Nr. 7 h-Moll D 759 "Unvollendete" (1822)
2. I. Allegro moderato 15:39
3. II. Andante con moto 11:16

4 .管楽九重奏曲 変ホ短調 D 79 「小葬送曲」 6:43
"Franz Schuberts BegrabniB-Feyer"
fur 9 Blasinstrumente es-Moll D 79 (1813)
Grave con espressione

ローラント・モーザー
ROLAND MOSER (*1943)
5. 「エコースペース(谺する空間)」~シューベルトの 「小葬送曲」 D 79に基づく 6:43
Echoraum zu "Franz Schuberts BegrabniB-Feyer" D 79 (2019)
Grave

シューベルト
Franz Schubert
6. 6つのドイツ舞曲 D 820(ヴェーベルンによる管弦楽編曲版) 8:55
[第1番 変イ長調/第2番 変イ長調/第3番 変イ長調/第4番 変ロ長調/第5番 変ロ長調/第6番 変ロ長調]
Deutsche Tanze op. posth. D 820
bearbeitet fur Orchester von Anton Webern (1931)

[録音]
2020年8月22日(1)、2020年8月24日(2-3)、2020年8月27~28日(4-6)、スイス、バーゼル、ドン・ボスコ音楽文化センター、パウル・ザッハー・ザール

[DISC 5] 70:58
1 劇付随音楽「魔法の竪琴」序曲 D 644 10:19
Ouverture zum Melodram Die Zauberharfe D. 644

交響曲 第8番 ハ長調 D 944 「ザ・グレイト」 60:39
Sinfonie Nr. 8 C-Dur D 944 "GroBe Sinfonie C-Dur"
2. I. Andante - Allegro ma non troppo 15:21
3. II. Andante con moto 14:49
4. III. Scherzo (Allegro vivace) - Trio 14:48
5. IV. Allegro vivace 15:34

[録音]
2017年11月15~17日、スイス、バーゼル、ラントガストホフ・リーエン

【演奏】
バーゼル室内管弦楽団
KAMMERORCHESTER BASEL
ハインツ・ホリガー
HEINZ HOLLIGER

【録音】
2017年11月15~17日(D 644、 D 944)
2018年6月19~21日(D 796、D 485、D 82)
2018年10月18~20日(D 590、D 589、D 417)
2019年6月6~7日(D 200)
スイス、バーゼル、ラントガストホフ・リーエン
2019年8月21~22日(D 84、D 732、D 125)
2020年8月22日(D 936a)
2020年8月24日(D 759)
2020年8月27~28日(D 79、エコースペース、D 820)
スイス、バーゼル、ドン・ボスコ音楽文化センター、パウル・ザッハー・ザール

【レコーディング・プロデューサー、エディティング】
アンドレアス・ヴェルナー(シレンチウム音楽プロダクション)

【レコーディング・エンジニア】
ヤーコブ・ヘンデル
ドイチュラントフンクおよびスイス第2文化放送との共同制作

【プロデューサー】
ヨッヘン・フープマッヒャー(ドイチュラントフンク)
ヴァレリオ・ベンツ(スイス第2文化放送)
マルセル・ファルク(バーゼル室内管弦楽団)
マルティン・コーン、ミヒャエル・ブリュッゲマン(ソニークラシカル)

ホリガー

カテゴリ : ニューリリース | タグ : 高音質(クラシック) ボックスセット(クラシック) SACDハイブリッド(クラシック)

掲載: 2021年08月27日 12:00

更新: 2022年03月01日 10:00