THA BLUE HERBが見た〈エレクトロニカ〉という風景
掲載: 2002年06月06日 12:00
更新: 2003年03月03日 21:18
さて、ここではTHA BLUE HERBのサウンドをエレクトロニカの側面から分析するという、大層なお題を与えられているんだが、エレクトロニカ(テクノでもアブストラクトでも括りはなんでもいいが)とヒップホップの関係とか、そんな与太話を悠長にするつもりは毛頭ない。指摘したいのはただこれだけ。今回のアルバム、及びシングルでO.N.Oが用意したトラックは、彼自身ほとんどアクチュアルなヒップホップをここ最近聴いていないなか(=聴く必要性を感じないで)作られたものであり、その代わりに彼が貪るように聴いていたものが、エレクトロニカと括られるインストゥルメンタルのエレクトロニック・ミュージックだったということ。
あと、彼がベトナムを旅していた経路と見事にシンクロした内容である、フリーフォーム『Freeform:Audiotourism, Original Music Vietnam And China』のサウンドスケープ、マルマリが『Supermogadon』 で示したメランコリックでアンバランスな心地良さ、アルヴァ・ノト『Transform』の徹底して幾何学な世界が僅かに滲ませる有機性、そしてタイムブラインドが『Rugged Redemption』で実現したノン・リニアなブレイクビーツのスリリングな構造を、じっくり聴いてみてほしい。
ときに高踏的だったり、お行儀が良すぎたり、仲良しすぎたりもするエレクトロニカの世界(というイメージを僕は否定しない)に、純粋に音楽的な興味からどんどんと入り込んで、O.N.Oはそれらから得られたものをきちんと血肉化して、THA BLUE HERBのヒップホップとして提示した。そのことはきちんと評価されて然るべきだと思う。
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