The Mars Volta
掲載: 2005年03月03日 11:00
更新: 2005年03月17日 19:03
マーズ・ヴォルタのセカンド・アルバム『Frances The Mute』は、あらゆる音楽を呑みこみ、われわれに〈!!〉を叩きつけるブラックホール・アルバムだ!!
テーマは〈前作とは異なる作品〉

イエー! あらゆる限界を超えろ!!──頭をからっぽに、そして心を無にして、ただただその音に身を委ねたとき、初めに浮かんだ言葉がこれだった。
まず、正直に言っておこう。これまで僕はアット・ザ・ドライヴ・イン(以下ATDI)のその後については、マーズ・ヴォルタ派というよりは、あきらかにスパルタ派だった。なぜって? 理由は単純。プログレ、ジャズ、ジャム・バンド、インプロヴィゼーションといった彼らを語るときに使われる言葉が物語るように、脱ロックの方向へどんどん向かっていったマーズ・ヴォルタの音楽性は、いわゆるロック、もっと言えば、ロックンロール的なモノを常に追い求めている僕の理解を超えようとしていたからだ。しかしそんな僕でさえ、「より理想の形に近づけた」とメンバー自身が語る2年ぶりのニュー・アルバム『Frances The Mute』には、冒頭に書いたように、百万言費やしても語り尽くせないその混沌としたパワーの前に完全降伏状態なのだ。
「僕はありとあらゆるタイプの音楽を愛している。ロックは、そんな数多くのジャンルのなかの一つにすぎない。僕たちは間違いなく、ラウドでディストーションが効いたギターに、ラウドなベースにラウドなドラムスを持つ〈エレクトリック・バンド〉だ。でもプレイできるタイプの音楽は、ただそれだけではない。もちろん、ロックは大好きさ。けれど単に〈ロック・バンド〉と言われることには、もう飽き飽きしている。そんなの単純すぎるよ。ロックにあらゆるものを足すことで、スタート地点とは異なるタイプの音楽を完成させることが僕たちの理想なんだ。僕はこれまで13年間音楽をやってきて、パンクもポップもジャムもメロウなものもすべて経験している。とにかく、〈セックス・ドラッグ&ロックンロール〉って言葉に代表されるロックやロック・バンドのイメージや陳腐な決まり文句は本当に、本当につまらないと思う(笑)」(オマー・A・ロドリゲス・ロペス、ギター:以下同)と、新作のプロデュースも手掛けたバンドの頭脳は語る。
収録曲は全5曲。しかし、収録時間は77分弱。それもそのはずで、5曲中3曲が複数のパートから成る組曲になっている。起伏に満ちたドラマ性の高い構成。ATDI時代にも負けないエネルギッシュかつエモーショナルな演奏。ラテンのパッションとロマンティシズムが反映された美しい楽曲。そして、それらが一体となったときに放たれる神々しい光!!
「新作は7か月かけて8か所で録ったんだけど、その理由は2つある。まず1つ目は、世界中どこへ行っても、それぞれの場所にはそれぞれに異なるタイプのエネルギーやヴァイブレーションが存在している。だから、それぞれの場所からいろいろと異なるタイプのインスピレーションやアイデアやフィーリングが得られるんだ。基本的にレコーディングとは、そういった異なるものを呼び起こす作業。たとえばオーストラリアで感じた強いヴァイブやフィーリングを、LAへ戻ってから懸命に呼び起こしながら一枚の作品に取り込む。でもそんなことをするくらいなら、そういったフィーリングを感じているその瞬間瞬間に、その場でレコーディングするほうが理にかなっている。そのほうが自然だと思ったんだ。2つ目の理由としては、このアルバムのサウンドやエネルギーを、バンドのライフスタイルが反映されたものにしたかったんだ。常にいろいろな場所を移動し続け、同じ状況下に長い間居ることのない、僕たちの遊牧民的なライフスタイルを。こういう生活、地球との関わり方を、僕たちは気に入っているんだ。レコードを制作するとき、大概の人は同じ場所で、安全かつ安定した状況下で作業を進めたいと思う。でも僕たちはもっと違うことをやりたいと思っていた。過去のアルバムはATDI時代も含め、みんな一か所で作ってきた。でも今回、そんなペースを変えてみたかったんだ」。
つまり、ライヴのオーガニックなエネルギーをそのまま捉えることが、今回のテーマの一つだったわけだ。さらに言えば、前述の発言からも分かるけれど、あくまでもライヴ・バンドである彼らにとって、特定の〈マーズ・ヴォルタ・サウンド〉というものは存在せず、常にステージの上で演奏しながら変化し続けているということなんだろう。
「そのとおりさ。僕らにとってライヴは非常に大切な空間なんだ。でも、同じことを繰り返しているだけじゃ、退屈になってしまう。だから、常に変化しようとあれこれ手を加えている。つまり、ライヴでやっていることを、いろいろ詰め込んだものが僕たちのアルバムだともいえる。アルバム作りでいちばん重視しているのは、前作とは異なる作品を作ることなんだ」。
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