DJ TASAKA 『Soul Clap』 キューン
電気グルーヴ『VOXXX』において日本語のヴォイス・サンプルをスクラッチしまくっていた姿、あるいはKAGAMIやアルファと共作した際のエレクトロ・ディスコ全開モードの姿――そんなDJ TASAKAに馴染みのある人なら、驚きを覚えるかもしれません。新作『Soul Clap』での彼は、上述の活動に比べると、かなりディープな一面を見せているのです。それは、いままで彼に対して〈色白のスクラッチ名人〉〈エレクトロ・ディスコ〉〈レコード供養〉といった関連付けをしてきたリスナーに、DJ TASAKAの奥底にある〈ハウス・グルーヴの肉体性〉と〈テクノの音響美学〉をさらけ出します。前作『GO DJ』で聴かせたトッド・テリー“Jumpin”ばりのパンピン・ハウス・モードと地続きながら、本作のなかでテンポを落として鳴らされているのは、転がり跳ねまくるシャッフル・グルーヴ群。最新ミニマル・ハウスの手法で鳴らされるそのグルーヴには、〈自分がやってるのはハウスのヴァリエーションに過ぎない〉と公言して憚らないリカルド・ヴィラロボスと通底するものがありますが、その上で鳴らされる音色には、彼のルーツのアザー・サイドらしき初期UKテクノやレア・グルーヴの質感がくっきりと。冒頭に〈90年代テクノに使い古されたアイコン〉であるイルカが登場する“Heart Shaped One”のプロモ・クリップ(初回限定盤のDVDに収録。制作は宇川直宏)に象徴されるように、彼の個人史がモダンな手法でパッケージされた大傑作となっています!
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