Eccy(4)
世界に通用するようなものを作れれば
――改めて、リスナーにとっては本作がどういうアルバムになったらいいと考えてますか?
「デビューした時はわりとジャジー・ヒップホップみたいに思われてて、最初はそれがすごい嫌だったんですけど、いまとなってはそれが逆に良かったのかなと思いはじめていて。それで僕の名前を知ってくれる人が増えて、新譜もチェックしてもらえて、僕が変わっていく様子をみんなにわかってもらえたら、自分が好きな音楽も広まりやすくなるんじゃないかなと思う。いままでの聴きやすさやエッセンスを残しつつ、新しいものを提示して、そっからみんなが向こうのドープなシーンに辿り着いてもらえたらいちばんいいなと思ってます」
――本作に続いて、12月には早くも新たな作品のリリースが予定されているとか。
「次はインスト・アルバムが出ることになっていて、大げさかもしれないけど、世界に通用するようなものを作れればと思っていて。昔はホントにただの夢っていうか、そうなったらいいな、ぐらいだったんですけど、いまは俺でも行けんじゃないかな、みたいな。こういうと語弊があるかもしれないですけど」
――ネットひとつ取っても、そこを介して海外に出て行ける可能性も広がってますからね。
「やっぱ世界に向けていくには、新しいことをやってくのがいちばん大事。いままでと同じようなヒップホップをずっと続けるのは自分のなかでつまんないというか、ホントに意味がない」
――ヒップホップにも、変わらない良さと変わり続ける良さの両面があるわけで。
「もちろん、そういう(変わらない)良さもヒップホップにはあるんですけど、僕は違うタイプだなと思ってる。3年後、4年後にどんな音楽をやってるか、自分でもわからない状態だし。いまはこういうの(今回のアルバムのような音楽性)が好きだからそれをやってるってだけで、他にもすごい好きなジャンルがあるから、体が2つあったらそっちもやりたいなあと思ったり」
――そういう気持ちの裏には、作品をコンスタントに残してきたという自信もある?
「もちろんそれはありますね。まだ全然(未熟)ではあるんですけど、スキルは作品を作るごとに絶対上がってる。自分に対しては自分がいちばん厳しいんで、そういう自分をちょっとずつ満足させられるようになってきたかな」
――制作の面で今後深めて行きたいことは?
「いまは新しい作品を作ろうとしてるんですけど、その方向性を探りながら、だんだん見えてきてる時期なのかなって。そのなかで、楽器もできるようになればいいな、って思いますね。常々練習しようとは思ってるんですけど、なかなか(笑)。シンセもワン・フィンガーで弾いてるし。ギターも一応買ったんですけど、指が痛くて。まずは指の痛くならないギターを発売してもらえたらな、と(笑)」
――ははは。最後に重ねて、年末のインスト作やその他近況について聞かせてもらえれば。
「インスト・アルバムは、ほとんど(構想が)固まってたんですけど、一昨日ぐらいから全曲作り直そうかなと思いはじめていて(笑)。今回のアルバムの後半部分をより進化させた感じにしていこうと思ってます。あとは10月に、プロデュースとミックスを全曲やったYASURIさんっていうラッパーの方のEPと、埼玉のNOMAD THE SEX GARDENっていうクルーのEPが出ます。どちらもドープなおもしろい作品になってると思います」
▼Eccyの作品を紹介
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