インタビュー

INTERVIEW(1)――変えたいことを変える力に

 

変えたいことを変える力に

 

――音楽との出会いは、そもそもどのようなものだったんですか?

「中学生ですごい仲良かった奴がめちゃくちゃ音楽詳しくて、俺も発散方法が爆音で音楽聴くみたいな状態で。その頃はコーンだったりリンプ(・ビズキット)だったり、破壊的だったり狂気的な音楽にすごい助けられた。その体験があるから、俺らが音楽やって、俺らみたいな奴に同じ現象を起こしてやりたいっていうのを中2ぐらいで話してて」

――その頃から音楽をやろうっていう気持ちがあったと。

「何をやるのかなんてまったく決めてなかったんですけど、音楽で生きていこうみたいな話にはなってた。で、そいつはすぐにギターを始めたんですけど、俺はまたそいつに、ちょうど出たばっかのエミネムの『The Marshall Mothers LP』を借りて、〈かっこいいな〉って。楽器買う気ないし、これだなあとか思ってて、高校入って17ぐらいでラップを始めて」

――ラップをするうえで他にも影響を受けたことなどはありますか?

「アッパーなものばっかり聴いて右も左もわからずラップやってるうちに、たまたまコモンの“Resurrection”聴いて〈なにこれ、同じジャンルなの!?〉みたいな。それもすごいくらったし、あとはやっぱり〈Bボーイ・パーク〉も大きかった。最初はガキの真似っこみたいな感じで、ラップをやってる人間は周りにもあまりいなかったけど、俺は全然大丈夫だと思ってましたね、なぜか。それで活動の場所を移したら、形になりはじめて」

――その末の最初の成果がファースト・アルバムの『True Blues』となるわけですね。前作をいま振り返ってどう思ってますか?

「いいと思いますよ、まとまってて。繊細だし、改めて聴くと結構新鮮だと思うんですけどね、出方的にも。だからアルバムとして文句は一切ないけど、俺自身のラップに関しては弱いです。なんか細い。ファーストはすげえありがたいアルバムっていうか……」

――そのありがたいっていうのは?

「やっぱ、いろんな人が協力してくれたから。俺だけであれを一から作れって言われたらアルバムできてないし、いろんな人が〈ズボンですよ〉〈靴下ですよ〉〈靴ですよ〉っていうふうに面倒見てくれたような気がしてて。そこに関しての感謝はすごいあるし、だから俺が大人になりきってなくてもエントリーできたんだと思う」

――それに対して新作のほうは?

「今回は、とりあえず着せてもらってませんからね。だから、やっぱり自分を鍛えなきゃいけなかった。ライヴも一回一回、ホントに〈今日終わったら後はどうなってもいい〉って状態で毎週やってったから、心が折れかけた部分もありましたけど、常に努力してる、ストイックにやってるっていう実感が欲しかったんですよね」

――実際、今回のアルバム『SAME SAME BUT DIFFERENT』にはライヴを繰り返して形にしていった曲も少なくないようですね。

「曲単位で鍛えることができました。いろいろ地方を巡ってライヴ会場にしかない熱を受けてきて、ラップを始めた頃にあったような気持ちになれた。夢を与えたいとか、なにか人のプラスになればいいなとか、俺の言ってることで変わってくれたらいいな、変えたいことを変える力になればいいな、とかっていうのは始める時の動機じゃないですか」

 

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2010年06月16日 18:00

更新: 2010年06月17日 19:06

インタヴュー・文/一ノ木裕之