HAIIRO世界と繋がる〈SAME SAME BUT DIFFERENT〉な人々（1）

Himuro Yoshiteru 『Where does sound come from?』 MURDER CHANNEL（2010）

“月光睡蓮”のプロデュースを手掛けた彼も、HAIIROに先駆けて新作を発表。エレクトロニカ～ダンスホール～ドリルンベース……と、音楽性がスピーディーにメタモルフォーゼする本作は、冒頭からラストまで先の読めない展開が刺激的!　〈ブレイク〉どころか〈デストロイ〉と言っても過言ではない、異形のビートが暴れまくってます。＊土田

Eccy 『Loovia Mythos』 Pヴァイン（2009）

HAIIROも籍を置くSLYEの主宰者にして、いまやシーン最注目のビートメイカーとして活躍する彼。HAIIROの新作では“SAME SAME BUT DIFFERENT”で哀愁を帯びたソウルフルなトラックを提供しているが、自身の最新作ではフライング・ロータス直系のスペイシーなシンセ音とつんのめり系ビートを敷き詰めた、くそドープな世界を全編にて展開。その作風の幅はますます広がりをみせるばかりだ。＊北野

オロカモノポテチ 『人類救済』 SLYE（2009）

HAIIROとはGlasemillaというユニットで活動を共にし、新作でも“Our ID”で絡んでいるSLYE所属の新世代ラッパー。MCバトルの常連ということもあってか攻め感満点のラップはストレートにカッコ良く、何となくパンクス的なメンタリティーをも感じさせる。初ソロ作となるこのアルバムでは銀杏BOYZ“あの娘に1ミリでもちょっかいかけたら殺す”のカヴァーに挑戦するなど、異端派好きには目の離せない存在。＊北野

あるぱちかぶと 『◎≠』 SLYE（2010）

HAIIROの所属するSLYEには独自のヒップホップ観&スタイルを持ったアーティストが集結しているが、なかでも際立って特異な道を歩んでいるラッパーがあるぱちかぶとだろう。このデビュー・アルバムではポエトリー・リーディング然とした調子でおびただしい量の言葉を放射し、奇妙な物語世界へ聴き手を引きずりこむ。＊澤田

NAGAN SERVER 『MU-ROOTS』 mono adapter.（2010）

ABNORMAL BULUM@の一員としても知られる大阪出身の新世代ラッパー／DJ。個人的には〈西のNAGAN、東のHAIIRO〉と並べて語りたくなるほどに、MCとしての雰囲気や音楽的な質感に共通した部分があり、SLYEからのEPを経てドロップされたこのファースト・アルバムも、HAIIRO好きには無条件にオススメしたい。特にマイケル☆パンチ（BAGDAD CAFE THE trench town）のピアニカがむせび泣く幽玄ダブ・ブレイクビーツ“Night In The Sky”が白眉の出来。＊北野