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インタビュー

INTERVIEW(3)――もっとストイックに

 

もっとストイックに

 

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――タイトルをその『SAME SAME BUT DIFFERENT』としたのはどのような経緯ですか?

「前にインドに行った時、たまたま買ったTシャツにその言葉が書いてあったんですけど、次にインド行った時に仲良くなった奴がたまたま同い年で、そいつにもその言葉を言われて。その瞬間にアルバム・タイトルが決まったんですよね」

――そのエピソードについてはタイトル曲でも歌われていて。〈SAME〉が重なってるのが不思議でもあって。

「最初は意味わかんなかったけど、感覚的にアルバム作っていくうちに〈みんな(がそれぞれ)違っていて、みんないい〉っていう解釈なんじゃないかと思った。これって普通に誰にでも響くじゃないですか。それに気付くのにアルバム一枚分かかったし、俺の歩いてきた道がこの17曲になってることに、作り終わってみてやっと気付いた。だから、このアルバムは俺でしかないし、俺の人生の一部っていう」

――アルバムとしては全体のテーマとして〈月〉っていうキーワードがあったそうですが。

「月って女性に例えられたりもするけど、夜に凄いフィットするアルバムにしたいなって。最後の曲が〈夜作る歌を歌える日は~〉っていう終わり方をしていて、アルバムは朝起きたところで終わりになる。だから夜通し聴いてほしいっていうのもありますね。やっぱりヒップホップは俺のなかで夜なんですよ。ジャズも夜だし、音楽は夜に生まれるものだと思ってるし、夜に見たり聴いたりすることは、すっげえものになるっていうか」

――夜は一人になって考える時間、自分に向かう時間でもありますよね。まして、アルバムを作るっていう作業のうえでも自分と向き合わざるを得ないだろうし。

「そうですね。結果的に自分と向き合う時間が凄く長かったし、月をテーマにしたからなのかわからないけど、とにかく産みの苦しみは凄かった。その苦しみは。店にCDが並んでるのを見た時に完全にスッと落ちていくんだろうと思います」

――産みの苦しみっていうのはどういう部分でですか?

「予期せぬこと……なんて言うのかな。俺は音楽をやりたいんだ、音楽だけやらせてくれっていうところで、避けて通れないしがらみとか葛藤は超ありましたね。音楽だけやれる環境って意外と少なくて。要らないしがらみが多すぎる」

――毎日ずっとミュージシャンでいさせてもらえないっていう。改めて本作はご自身にとってどんなアルバムになったと考えてますか?

「今回も仲間の力は大きかった。そいつらがやっぱ近くで助けてくれたから。その経験のぶん、モノを見る目はすごい成長したし、養えたと思います。だからホントに作れて良かったし、世の中の人に何と言われようが、あまり気になんない。悪口言われたら傷つくし、褒められれば嬉しいっていうぐらいしかないです」

――リスナーにとってどんなアルバムになればいいと?

「別にリスナーに強要することはないです(笑)。わからないところもあると思う。でも、不安がある人や、別れに臆病だったりする人、あと就活でも試験でも何でもいいんですけど、何かを越えたい人に聴いてほしい。俺も突然やってくるそういうことに備えるため、乗り越えるために書いた曲があるんで」

――今後について考えていることも教えてください。

「音的にも、もっとストイックな方向にいきたい。やっぱり、自分の信じてることを突き詰めるしかないですね。日本語ラップとして聴いてくれるのはそれはそれでいいけど、最終的な目標としては、視野やメンタル的な部分で、アジアをひとつとして考えることができるような音楽にしたいなと思います」

 

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カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2010年06月16日 18:00

更新: 2010年06月17日 19:06

インタヴュー・文/一ノ木裕之