INTERVIEW(2)――ハウスとテクノの融合
ハウスとテクノの融合
——ちなみにKAWASAKIさんはアルバムを制作する際、テーマが先に来るんですか? それとも後から浮かび上がってくる感じですか?
「後付けもありますけど、どちらかというと、最初にテーマを作っていくほうですね。今回のアルバム『PARADISE』はハウスとテクノの融合だったんですよ。僕らが考えるテクノということで、偏ってはいるんですけど。あの沖野修也さんの考えたキャッチというかテーマが〈ロマンテック〉なんですけど・・・。(少し照れつつ)〈ロマンティック〉な〈テクノ〉っていう」
——照れないでください(笑)。
「(笑)コード感を重視した歌心のあるサウンドを作るDJ KAWASAKIが考えるテクノ、それをハウスとどう結びつけるかというテーマですね。それで最初のデモを作る際に、沖野さんから指示というか足かせをいただきまして、ピアノとストリングスを使うなという指令が出たんですよ」
——〈乙女ハウス〉と言われていたハウスのキーとなるサウンドですよね。
「ええ。結果、何曲かは使ってるんですが、味付けというくらいにとどめてますね」
——実際その作業はいかがでしたか?
「おもしろかったですよ。確かにピアノやストリングスを使うと切なさも華やかさも出るんですけどね。でも3枚目としてはちょっと違うかなと思ったんですよね」
——例えば目の見えない方って耳や鼻とか他の感覚が鋭敏になるってよく言われてますけど、ピアノやストリングスに頼らないサウンドを作るなかで、KAWASAKIさんの他のどの部分が伸びたと感じていますか?
「編集の仕方やテクノっぽいシンセ・サウンドの使い方は勉強になりましたね。それをルーツ・ミュージックであるディスコ、なかでもシルヴェスターみたいな音楽と接続して現代版なアレンジを施していくイメージです」
——シルヴェスター!? まさかのハイエナジー(70年代末~80年代に盛り上がったユーロ・ディスコ)ですよね? へえ〜、ちょっと意外かも。
「ああいうのも僕にとってはエレクトロに入るんですよ。それに、あのへんのディスコもストリングスやピアノに頼ってる感じではないので参考にしていましたね。あとはラリー・レヴァンがリミックスした寺田創一+島田奈美とか。あそこらへんにエレクトロ・ファンクやディスコの要素が盛り込まれていると思うんですよね」
——なるほど。もしかしてKAWASAKIさんってダニエル・ワン(2000年代中期あたりで盛り上がっていたディスコ・ダブ/イタロ・ディスコなどのカルト・ディスコ・サウンドを牽引していたバリフのレーベル・オーナー兼プロデューサー&DJ)とか大好きなんじゃないですか?
「あー、もう大好きですねっ!」
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