LONG REVIEW――ねごと 『Hello! “Z”』
ねごとのデビュー・ミニ・アルバム『Hello! “Z”』を聴いて、あるバンドのデビュー作を思い出した。まだ10代の4人による演奏の初々しさ。それでいてしっかりと曲が書けていて、オルタナティヴ・ロックを通過した洋楽志向のサウンドで……そう、ねごとの音楽の端々には、スーパーカーと相通じるものを感じるのだ(ベーシストの藤咲が、フルカワミキと同じヤマハのSBVを弾いているのもその一因だろう)。
そんな彼女たち固有の武器は、キーボードのフレージングが描き出す色彩と、全員で呼吸を合わせたコーラスワークだ。それがこのバンドらしさを生むと同時に、楽曲に新鮮な空気を吹き込んでいる。そしてこの『Hello! “Z”』では、“ループ”“透き通る衝動”のように非常によく出来たポップソングがある一方で、ヒリヒリしたギター・リフが刻まれる“うずまき”や、重々しい轟音が渦を巻く“NO”もある(沙田と藤咲がソニック・ユース好きというのも頷ける)。かと思いきや、写真で見るメンバーの雰囲気や、ライヴでパジャマを着用したりといったファンシーさ(?)は十代らしい無邪気さそのもの。このギャップも彼女たちの大きな魅力だろう。とにかく伸びしろのありそうなバンドだけに、これからの成長にも注目だ。そして彼女たちが伸び伸びと素直に音楽を鳴らしていった、その先にあるものを見届けたい。