INTERVIEW(1)――あらゆる音楽を知っておきたいと
あらゆる音楽を知っておきたいと
――ミュージシャンとしての出発点から伺えますか?
「最初は坂本龍一さんに憧れてピアノを始めたんです。『Heartbeat』(91年)を出されたくらいの時期で、最初に聴いたのがライヴ盤『Media Bahn Live』ですね。そのなかの〈戦メリ〉のテーマ(“MERRY CHRISTMAS MR. LAWRENCE”)を聴いて、こんな曲が弾けたらいいなあと思って」
――その時期の坂本さんはワールド・ミュージックやハウスなんかを貪欲に採り込んでましたね。
「そうですね。そういういろんな要素が入り込んでいて、でもちゃんと自分の世界があるのがかっこいいなと思ってました」
――アルバムからはジャズはもちろん、クラシックの要素もすごく感じられますけど、そういった音楽もベースにありますか?
「上京して音楽大学に入ったんですけど、その時期にいろいろと勉強しました。細野晴臣さんが監修した民族音楽のシリーズとかコンピをたくさん買ったりして、とにかくあらゆる音楽を知っておきたいと当時は思ってましたね」
――ご自身の音楽活動はどのように始まったんですか?
「大学の時期にキーボーディストとして活動しつつ、人のバンドを手伝ったりしていて。その流れでミュージシャンのライヴ・サポートをやりはじめて、いまはそれがメインの仕事になってます。そういう仕事と並行して、自分がヴォーカルのcafelonというバンドもずっと続けてました」
――Schroeder-Headzはクラブ・ミュージックを通過してるところも重要だと思うんですが、そういう音楽にも昔から親しんでいたんですか?
「リスナーとして、エレクトロニカとかフォークトロニカなんかを聴いてはいました。でも、もともとがバンドマン気質なので、クラブ・ミュージックはそんなに身近なものではなかったです。ダンス・トラック特有の、機械によってアジャストされたビートは好きだったんですけど、それは自分のやることではないなと思ってました」
――プレイヤーとしての感覚が音楽をやるうえで根っこにあったと。
「ええ。クラブ・ミュージックって楽器を弾けない人が作ってるからこそのおもしろみがあると思うんですよね。音楽的にすっごい乱暴なことをしていて、めちゃくちゃなんだけどかっこいい。そういうところに魅力を感じてたので」
――確かに、プレイヤーとしてすごいテクニックを持ったヴェテラン・ミュージシャンがクラブ・ミュージックに近付こうとして失敗……みたいなパターンはあるかもしれませんね(笑)。
「ですよね。だから、自分みたいなクラシックやジャズを勉強した人間がクラブものを作っても、おもしろいものにならない気がしてたんです」
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