LONG REVIEW――Schroeder-Headz 『NEWDAYS』
アニメ「ピーナッツ」でスヌーピーやチャーリー・ブラウンなどと同様に高い人気を誇っているキャラクターが、トイピアノを弾いているシュローダーだ。ベートーヴェンをこよなく愛するこの小さなピアニストの脳内に広がる宇宙に触れてみようと試みたのが、PUFFYやDE DE MOUSEなどのセッションで名を馳せる渡辺シュンスケのソロ・プロジェクト、Schroeder-Headzのデビュー・アルバム『NEWDAYS』である。
ピアノ、ベース、ドラムスというトリオ編成で、ジャズをメインにエレクトロニカやポスト・ロックといった要素も備えたインスト・ミュージックを紡いでいく彼らだが、オーセンティックとコンテンポラリーを自然な形でクロスオーヴァーさせるワザは実に見事。性急な打ち込みのビートと生演奏をミックスして独特のたゆたうような空気感を発生させる“exodus”など美しい実験作が目に付くものの、3者の緊密なインタープレイを記録した“newdays”や“polka dots fish”など、よりシンプルな楽曲においてむしろ大きな宇宙が描き出されているところがおもしろい。クロージング・ナンバーは「Peanuts」の音楽を手掛けていたことで知られるピアノ・トリオ、ヴィンス・ガラルディ・トリオへのオマージュを込めたという“T.V.G.”。ワイワイ賑やかに対話をしながら作られたような洒落っ気たっぷりのジャズ・サウンドは、きっとシュローダー少年の微笑みも誘うことだろう。
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