INTERVIEW(3)――深いところに刺さってほしい
深いところに刺さってほしい
――中盤には“TAKE OVER”や“Time Will Tell”のような英語詞のストレートなパンク・ナンバーがありますけれども。こういう曲はいまのLAST ALLIANCEにとってはどういう位置付けの曲になりますか?
ANZAI「ライヴでは間違いなく4番バッターですね。LAST ALLIANCEの10年やってきた流れを経て、いまの時点で辿り着いた拠り所というか。これが安心できるというか。プレイしていて楽しいし、お客さんもこれで盛り上がってほしい。僕らのルーツを出すべきだと思って、大事にしはじめましたね。今回も15曲のなかにそういう曲が入っていることで、だいぶフックになっていると思うし」
――2ビートのメロディック・パンクでも、パーティーっぽい西海岸の感じと、ちょっと憂いを帯びている感じがあると思うんですけれども。この曲に感じるのは後者のほうで。そういうものがしっくりくるものとしてあるんでしょうか?
MATSUMURA「まさに。湿っぽいのが好きですね。90年代のメロディックって僕らの青春みたいな感じだから。いつも遊ぶときに聴いてたし。単なる音楽じゃなくて……」
――血肉って感じですか?
MATSUMURA「血肉ですね。攻撃的な曲を作ろうとすると自然に2ビートの方向にいっちゃう。好きなんですよね」
――で、このアルバムのリード曲となっている“WING”。この曲は4つ打ちの日本語詞のナンバーですけれど、こういう曲は?
MATSUMURA「これも主軸なんですよね。ルーツはルーツとして、このバンドは、日本語のロックをやるというのがテーマとして始まっているので。それは僕らにとってメインと言ってもいいことだから」
――ラストの“TIME CAPSULE”はアルバムのなかでもいちばんメロウな曲ですけれども。これはどうでしょう?
ANZAI「これはいちばん終わりっぽい気がしたんですよね」
MATSUMURA「いままでもBPMの遅いバラードのような曲も多いんですけれど。J-Popも聴いてきたし、歌メロを押し出した曲が好きなんで。アルバムに限らずライヴのセットリストにおいても、こういう歌を大事にした曲が必要なんですよ。泣いてほしいし、感じてほしいし、笑ってほしいし、遊んでほしい。そういう、いろんな感情が詰まったライヴをやりたいんで、こういう曲もアクセントとして必要なんですよ」
――なるほど。そういうさまざまな方向が詰まったアルバムということで。濃いですよね、中身が。
MATSUMURA「よく言われます(笑)」
――疾走感だけ切り取るわけじゃなくて、骨の部分も、ドロッとした部分も、全部見せるという。
MATSUMURA「そうですね。自分たちでもそういう意識はあります。ただ、難しい道を行ってるなっていう感覚はありますね。もっとわかりやすいやり方はあるかもしれない。いろいろありすぎると、好みは分かれてくるし。でも、僕らは一貫してこういうやり方を貫いてきたから。それをすべてがLAST ALLIANCEだと思っているから。こういう世界観を好きになってもらいたいとは思います」
――そこでリスナーと信頼関係を結べるというところが大きいのかなと。
MATSUMURA「そうですね。結べたらいいなって思いますね。もちろん軽い感じで来てもらって、聴いてもらうのも大歓迎だけれども。でも、深いところに刺さってほしい。どうせならね。せっかくCDを買ってもらった人には、ずっと聴いてほしいから」