インタビュー

LONG REVIEW――LAST ALLIANCE 『Keep on smashing blue,』

 

LAST ALLIANCE_J170

ツイン・ヴォーカルを看板とする編成や、歌謡曲的な哀愁を活かした楽曲など、日本語ロック・バンドとして独自の進化を遂げてきたLAST ALLIANCE。先のミニ・アルバム『KAWASAKI RELAX』は、英語詞のメロディック・パンクという彼らのルーツ的な作風に、オートチューン加工などの新味を加えた作品だった。果たして本作『Keep on smashing blue,』は、15曲入りというヴォリュームを伴った彼らの集大成的な大作であり、バンドとしてネクスト・ステージへ突入しようとする瞬間を切り取った一枚でもあると思う。エモやパンク、ハードコアを消化したサウンドで勢い良く進む前半から、ワルツやフュージョンなど新機軸のアプローチも挿む後半という作品としてのユニークな構成に、バンドの音楽的な軌跡・変遷がどこか重なっても見える。

日本語詞と英語詞を使い分けた彼らの歌詞は、時に幻想的なショート・フィルムのようだったり、ドキュメンタリー調だったりする。そこには、ヘヴィーな実情を見据えながら、それでも前向きな何かを求め、いつの日かブレイクスルーを果たさんとする……言ってしまえば、〈希望〉を謳うロマンティストぶりがはっきり表れている(その想いは本作の表題にも込められている)。その極致と言えるのが、バンド自身とオーディエンスについて歌った“ALLIANCE AIRLINES”だろう。思えば、メンバーが急病に見舞われたり、先日は機材車が盗難されたりと、彼らの行く道はいつだって困難ばかりだ。だが、そんな悪路を、彼らはその音楽を掲げて誇らしく進んでいく。本作はその力強いステートメントでもある。

カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2010年10月27日 18:00

更新: 2010年10月27日 20:30

70686