インタビュー

INTERVIEW(2)――メロディーを大事にしている

 

メロディーを大事にしている

 

――GIORGIOさんが楽曲提供の仕事を活発化させるのはSo'Flyが活動を休止した2008年以降ですけど、AYUSE KOZUEのシングル“Pretty Good”のプロデュースは2006年に手掛けてます。これは結構早い時期の仕事にあたるんじゃないでしょうか。

GIORGIO「そうですね。大掛かりなプロジェクトでしたし、自分のなかで大きなきっかけになった方ですね。それ以前も楽曲提供はしてたんですけど。自分のレーベルだったり、ラッパー陣がシンガーをフィーチャーした曲とか。だから、純粋に歌だけの曲はAYUSEさんが初めてかもしれない」

――“Pretty Good”はアッパーなダンス・チューンではなくて、ミドルテンポでメロディアスな曲でした。その後のプロデュース・ワークやいまのSo'Flyに繋がるニュアンスがあります。

GIORGIO「あれは僕のなかでド・ストライクな曲になりました。単純にダンサブルとか、単純にハッピーとかじゃなくて、聴き手の心に訴えかける曲が出来たんじゃないかと」

――そういったタイプの曲を作る契機になったところはありますか?

GIORGIO「いや、ああいったメロディアスで良いコード感のトラックは昔から好きだったんですよ。ただ、それ以前は楽曲提供にしてもSo'Flyにしても、ラップがベースでサビで歌い手さんが出てくる、みたいなタイプの曲でしたから、歌の占める割合は違いましたけどね」

――その割合に関して言うと、So'Flyの楽曲は歌とラップが混ざり合っているスタイルのものがほとんどですよね。

GIORGIO「それはもう自分の好みですね。歌もラップも入ってるものがとにかく好きだし、そういうものばっかり作っちゃうんですよ。歌だけのR&Bだと〈ラップ入ってきてくんないかなあ〉と思ってしまう(笑)。ラップだけの曲だったらトラックにメロディアスな要素を求めてしまったり」

――初期のSo'Flyの楽曲、特にシングルに関してはビートの強い曲が多い印象を持ってるんですが、ダンサブルなものからメロディアスなものへという方向性の変化はありましたか?

GIORGIO「どうでしょう? ダンサブルな曲であっても僕は常にメロディーを大事にしてるんですよ。アッパーな曲であってもメロディーだけ取り出してテンポを落としたらド・バラードになっちゃうくらい。So'Flyはエンターテイメント性が大切だと思ってるんですけど、ノることもできて、浸ることもできる……そういうものが僕にってのエンターテイメントなんですよね」

――TOKOさんはダンサブルな曲とバラードとで、歌ううえでの違いはありますか?

TOKO「ダンサブルな曲だと自分を主張しすぎるのは良くないと思う時があります。楽器に徹しようという。実際にGIORGIOさんがミックスを終えて完成した作品を聴いたら、ヴォーカルがそういう仕上がりになってたりするんですよね」

――ヴォーカルについてGIORGIOさんはどういったディレクションをするんですか?

GIORGIO「そんなにしないです。So'Flyに限らず、僕のプロデュース・ワークの仮歌はすべて彼女に歌ってもらってるんですよ。だから、いちいち言葉にしなくてもわかってくれてますし。ただ、あえてギャップを出したい時……切ないバラードを優しくではなく、強く歌ってもらいたい時とかは話し合うかもしれない。弱っている時に限って強がってみたりするギャップにこそ人間らしさって出ると思うんですよ。そういうところを楽曲で表現したいんです。興奮している時に、あえてテンションを落としてみたり」

――それは先ほどおっしゃってた、ダンサブルな曲であってもメロディーを大事にしたりっていうこととも繋がりますよね。

GIORGIO「例えば白を見せたかったら全体を真っ黒にすると思うんですよね。それでひとつ白をポンと置く。そういうところを大事にしてます」

 

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掲載: 2010年11月03日 17:59

更新: 2010年11月04日 14:36

インタヴュー・文/澤田大輔