INTERVIEW(3)――この曲、歌いたい
この曲、歌いたい
――So'Flyは2008年のリリースを最後に約2年間活動がなかったわけですけど、これは〈ちょっと休もう〉みたいなニュアンスですかね。
GIORGIO「別に休もうと明言したわけでもなく……この2年間も制作はずっとしてましたしね。結果的に最後のシングルから2年間空いてしまったということですね。活動するなら、できるだけたくさんの人に聴いてほしいという思いがあって、そのための環境を作りたかったんです。作ったものをきちんとした形で出して、その楽曲をずっと歌っていけるという環境。それを活動しながら探っていくのは嫌だったんですよね」
――この2年の間にGIORGIOさんはプロデュース・ワークをたくさん手掛けられてます。積極的に楽曲提供をやっていこうという気持ちがあったんですか?
GIORGIO「いや、これも偶然なんですよね。So'Flyをちょっと見直そうかと思っているタイミングで、2人の歌い手さんから声がかかって、その仕事をやりはじめたら次から次へとオファーがあって。気付いたら2年間、ひたすら曲を作ってたんです」
――楽曲提供を通じて、メロディー主体の作り方に変わっていったというお話がありましたけど、この2年間はそのスタイルでの音楽制作を追求するような時期だったんですかね。
GIORGIO「そうですね。とにかく歌で勝負する曲を作ってたんですけど、ある時に仮歌を歌ってた彼女が〈この曲、すごく歌いやすいです〉って言ったんですよ。たまに〈この曲、歌いたい〉って本音を出したり(笑)。せっかくSo'Flyというグループをやるんだったら、その歌い手さんが歌いたい曲をやりたいと思った。それが今回の“First Kiss”に繋がってますね」
――GIORGIOさんは歌詞も手掛けてますよね。歌い手さんに歌ってほしい曲を作るって意味では歌詞の重みも変わりましたか?
GIORGIO「個人的に音楽を聴く時には歌詞を気にしないことのほうが多いんですよ。海外のラップとかR&Bって涙が出るほど良い曲なのに、歌詞をよくよく聴くと酷いことを歌ってることはよくありますし(笑)。でもいまはリリースされる前に歌詞が掲載されるサイトもあるし、それを見た人が着うたを買ったりする。曲を聴く前に歌詞を見るってすごい時代だなあと。僕が思ってる以上にリスナーは言葉に重きを置いてるんですよね。だから僕は歌詞の重要性をリスナーの方に教えてもらったと言っても過言ではないです」
――それでも、歌詞はご自分で書く。
GIORGIO「必ずそうしたいと思ってるわけではないんですよ。僕は作詞/作曲からトラック制作、ミックスまでやってますから、客観的に見ると自分でも〈よくここまでやるな〉と思いますけど(笑)、それはクレジットのうえだけの話で。実際は制作の過程でいろんな人の手を借りてるんですよね。それで良いと思ってる。いろんな人が集まって作るところに僕は音楽のおもしろさを感じてます。だから、もし自分ですべてができちゃうんであれば、むしろ音楽は作ってないんじゃないですかね」
――TOKOさんはSo'Flyの表立った活動のない2年間はどういう気持ちでしたか?
TOKO「GIORGIOさんの制作のお手伝いをしていたので、すごくあっという間だった感じもあり、長かったような気もするんですけど……この準備期間の間に、もっと歌や音楽に集中できるようになったと思います。2年間は制作だけをやってたからこそ、必死にしがみついて行こうというハングリー精神が生まれたんですかね」
GIORGIO「横で見ていて、すごく成長したと思ってます。僕は売れっ子の方からデビュー前の新人まで、いろんな歌い手さんを見てきましたから、それは自信を持って言える。彼女は僕が提供するほとんどの曲に関わってきたから、本当にさまざまなタイプの曲を歌ってきてますし。それから、頼んでる僕が言うのもなんですけど、仮歌だけを歌うのって正直なところおもしろくないと思うんですよ。そういう過程を経てまたSo'Flyが始まって、いまの彼女からはすごいエネルギーを感じるんですよね」
▼So'Fly、GIORGIO“13”CANCEMIの別ユニット・NERDHEADの作品
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