インタビュー

LONG REVIEW――So'Fly 『First Kiss』

 

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例えばファー・イースト・ムーヴメントのような音が全米チャートを制するような時代にあって、ふと思い出すのが往年のm-floだったりSo'Flyだったりする。別にUS万歳なわけじゃないが、ダンクラ系からフィルター、UKガラージ、エレクトロまでを足回りに装填した音楽性はいま聴いても刺激的で楽しいものだ。が、いまだに邦楽系のメディア関係者やコア(?)なファンにはポップで享楽的な音や大バコっぽいノリを無意識に小馬鹿にする風潮がこびりついている。だから覇気も刺激もないバ(略)いんでしょうかね。

で、DELiGHTED MINTの頃からGIORGIO“13”CANCEMIの音を何となく気にしてきた人なら、西野カナらのプロデュース仕事で彼が名を馳せようとも、名曲“LAST SUMMER”などTOKOと組んだSo'Flyにおけるフットワークの軽いポップネスこそが彼の心臓部だと感じてきたに違いない。同じくGIORGIOが率いるNERDHEADの作品にもTOKOが参加していたからさほどのブランクは感じないが、コンビでのリリースは2枚目のフル・アルバム『Blood & Wine』以来2年ぶり。レーベルも移籍して心機一転、再始動を告げるシングルがこの“First Kiss”だ。

クラシックっぽいコード感に壮麗なストリングスとピアノが絡んで始まる表題曲の全体の空気感は、ぶっちゃけNERDHEADの“BRAVE HEART”に似た印象も受けるものの、以前より歌の輪郭をクッキリさせたTOKOの唱法も含めて、このモードが実際の受け手を見据えた現実的な選択なのだろう。同じくピアノ・ループを軸にしたカップリング群も感触はそれぞれ異なり、特にCICO(BENNIE K)を迎えた“DAY DREAMER”は90年代R&Bっぽいスムースな意匠とラップの応酬が気持ち良い。自身の変声ドリーム歌唱も織り込みつつ全体にポップな芯を通したGIORGIOの構成力も巧みだし、この先に用意されているであろうアルバムが楽しみになる全3曲。NERDHEADの時もアルバムにはシングルと全然違う刺激があったしね。

 

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掲載: 2010年11月03日 17:59

更新: 2010年11月04日 14:36

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