インタビュー

INTERVIEW(3)――メロディーの抑揚が言葉を呼ぶ

 

メロディーの抑揚が言葉を呼ぶ

 

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――まさに〈さすらい記〉ですねぇ。佐野さんはシンガーとして自分らしさを失わないよう何か心掛けていることなどあります?

佐野「そういうのはあまりないですね(キッパリ)」

佐藤「ハハハ。いつも前進あるのみですから」

佐野「それが良いかどうかわからないですけど、どういうふうに歌っていこうか、とかじっくりと考えないんですね。自分の歌がいいかどうかは自分ではわからないですから。聴いてくれた人の反応で知ったりするわけです」

――でも、〈そうかなぁ?〉って意見も多々あるでしょ?

佐藤「それはありますね(笑)。人から〈ナニナニでしょ?〉って言われたら大抵違うって思ったりしますから(笑)。いつも素直に受け入れられないですね。でもまぁ聴く人あってのポップスですし、どんなふうに受け取ってもらってもかまわないです。人それぞれのお気に入りになってくれればそれでいいわけで。だから、意見は笑って受け入れます(笑)」

佐野「インタヴューとかで〈こうでしょ?〉って言われて、そうじゃないんだけど……と思いつつも、〈じゃあなんだろう?〉って考えると、う~んって言葉に詰まってしまう。本音が恥ずかしくて言えなかったりもするんだけど(笑)」

――ハハハ。ところで、ふたりが心地良さを感じる〈音〉について訊いてみたいんだけど。

佐藤「なんだろうなぁ~」

佐野「私が好きな音は、家のなかに居て外から聴こえてくる音ですね。人の話し声とか、窓越しにうっすら聴こえるぐらいの感じが好きですね。聴いていると、眠くなっちゃうんですよね。鳥の鳴き声が聴こえ出して、だんだん空の色が明るくなっていく時間帯の音も好きです。あ、人の声だと昼間の声が良いです(笑)」

佐藤「夜に表の人の声はちょっとね(笑)」

――そういう心地良いサウンドから、音楽作りのインスピレーションを得たりすることがあるのかなぁと思ったんです。

佐藤「つまり〈入力〉の部分の話ですよね。う~ん、一体何が曲作りや音楽に影響を与えているのか、いまいちわからない。というか、分析はしないですね」

佐野「音じゃないけど、昔のことを思い出すってことはイイもんだよね。懐かしい思い出が浮かび上がってくるところから、何かインスパイアされることはあるかなぁ」

佐藤「うん、それは確かにあるねぇ。僕の曲作りはメロディーやリズムを組み立てて、あとで歌詞を付ける場合がほとんどなんです。その作業のとき、メロディーの抑揚だったりが、言葉を呼ぶんですよ。で、ひとつの言葉が聴こえてくると、次第に前後の文脈が生まれてくる。なので、風景や何かを思い出したりしながら作っているとは言えないですね」

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掲載: 2010年11月03日 18:00

更新: 2010年11月04日 22:22

インタヴュー・文/桑原シロー