インタビュー

INTERVIEW(3)――〈君が好き〉と言えるかどうか

 

〈君が好き〉と言えるかどうか

 

――ではそろそろニュー・シングル“ほんとのきもち”の話をしましょう。これはどういうふうに作った曲ですか。

「言葉に関しては……街を歩いている一人一人だったりとか、歌詞のなかにも登場する酔っ払ってうずくまってる人とか、ケンカしてるカップルだとか、自分が見ている情景に登場する人物たちにはみんな物語があって、すごく深いんですよ。浅い人なんていないと思う。深い人たちばかりのなかで、どの人もこの人も事情があって真相があって、それを全部理解するのは無理だから〈他人に興味ない〉と言っちゃうのかというと、そういうじゃないというところですね。自分のことを考えてみても、何かいろいろ複雑に入り混じっていて、いろんな問題があるしいろんな悩みもあって〈僕の考えてることは複雑です、自分でもわかりません〉と言うのは簡単なんですけど、その気持ちの奥の奥まで掘り起こしていくと、いちばん根っこのところには、シンプルなものしかないような気がするんですよ。そんなに複雑なことばっかり考えて生きてないんですよ。いちばん伝えたいのは結局のところ恋心だったり、ときめいてるかときめいていないかとか、楽しいかつまんないかとか、そのぐらいになってくる気がするんですよ」

――突き詰めれば。

「突き詰めれば。そういうなかで〈君が好き〉と言えるかどうかが、すごくデカイと思うんですよ。〈誰も好きじゃない〉って言うのは簡単だけど、僕はそうじゃなかった。誰かのことを好きでいられてるな、と思って、伝わるかどうかわかんないけど〈君が好き〉と言いたいなとすごく思った。自分が複雑な人間だと思いながらも。そう思ったらすごく自然な気持ちになれて、30分ぐらいでバーッと書いた曲ですね。メロディーも詞もほぼ同時に」

――その時にはもう、ドラマの話(日本テレビ系ドラマ〈Q10〉の主題歌)はあったんですか。

「もういただいてました。どんな曲にしようかなって、2か月ぐらいすごく悩んだんですよ。そこから一旦フラットな気持ちに戻れたというか、自分っぽいものを作りたいと思うわけでもなく、ドラマっぽいものを作りたいと思うわけでもなく、ドラマの台本を読ませてもらって自分が作りたい曲を書いたという、そういう段階を踏めた気がします。人のおもしろみや人の奥行きを考えるきっかけをくれたのは完全に〈Q10〉の台本なんですよ。ドラマの台本があって、自分の日常生活もあって、悩んだ期間もあって、どれか一つ欠けてもできなかったと思います」

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掲載: 2010年11月10日 18:00

更新: 2010年11月10日 19:26

インタヴュー・文/宮本英夫

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