INTERVIEW(3)――バンドが発信しているもの
バンドが発信しているもの
――その発端は5月にサプライズ的に行ったライヴということですが、今回発表される3曲はその段階であった曲ですか?
「ありましたね」
――曲を書いているのはどなたなんですか?
「そこはあんまりその……言いたくないっていうか。誰が書いてたとしてもバンドの曲だから、勝手に想像してくれりゃあいいじゃん、みたいな」
――ただ作り方としては、さっきおっしゃってたように誰かがベーシックを持ってきて、そこに各々のパートを乗せる、っていう?
「そうですね。それもまたマチマチで、大元になるものにホントにただ各パートを乗せるだけで通っちゃってる曲もあるし、その大元っていうのがまだ半分以下ぐらいで、それに別の人間が手を加えて完成させて、そこに乗っけてるものもあるし。特に取り決めがあるわけじゃないんですけど、ヴォーカルのメロディーだったり歌詞だったりっていうのをいちばん最後に俺が書いてフィニッシュしてる、っていうのが一個の形で、曲はいろんなとこから出てきてますね。別々の人から出てきたものがくっついてるものもあったり」
――それはもう、完全に共作ですね。
「うん。そうじゃないと意味がないな、っていう。それは聴く人にとってもそうだし、やってるメンバーにもそういうふうに楽しんでほしい……というか、自分もそういうふうに楽しみたいっていうのがあるんですよ。誰かが作ってきた曲を聴いて、この状態だったら完成形はこうだろうな、って思ってたのが、他の人に渡ったら全然違うことになった、みたいな。で、それを結果オーライでみんなで楽しめるっていう状態だからこそ、こういう音楽になってるんだと思うんですよ。それでCDにもクレジットしてないんですけど。他のメンバーにはいちいち確認取ってないですけど、まあでも、いいんじゃないかと思ってますよ。もしかしたら、次に作品を出す時にはすんげえ細かくクレジットされてるかもしれないけど。ちゃんとしてくれ、って言われて(笑)」
――となると、1曲のなかでAメロは誰々、Bメロは誰々、みたいなことになりますよね(笑)?
「うはは、それ斬新ですよね(笑)。リズム誰々、とか(笑)」
――そして、歌詞はすべて石井さんが書いていらっしゃる。
「なんだけれども、曲にしても歌詞にしても全部〈バンドが発信してるもの〉として捉えてほしいところはありますね。曲のタイトルもワードも全部」
――個々の、ということではなく、全体のイメージが大事。
「うん、そうですね。歌詞に関しては、いまのところいろんな人が書いたらとっ散らかるっていうのもあって。だからきっかけとなるイメージはいろんな人から出てくるけど、それを俺が言葉だったり、タイトルだったりに入れ込んで出してる形なんですよね」
――全体のイメージには、さきほど言ったような退廃的であったり、官能的であったりというものに加えて、ゲイ・カルチャーを彷彿とさせる匂いがあると思うんですけど。
「はいはい、そうですね」
――ジャケもそうですし、そういうセクシャリティーはすごく感じます。
「まあ、メンバー内にそういう人がいるわけじゃないのに〈そこいっちゃおうよ〉みたいなのが、おもしろいですよね」
――そこは意識してたんですか?
「このシングルに関しては、結構意識してやってますよね。ゲイ・カルチャーというよりかは、どっちかというとグレイス・ジョーンズとかのイメージ。打合せの時はそういう話が出てましたね」
――ああ、なるほど。確かに今回のシングルは、曲ごとのカラーがあるとはいえ、全体的に性を超越した妖艶さというか、肉感的な雰囲気が共通していますね。
「最初の作品で、しかもシングルなんで、対照的な2曲というのもアリだったんですけど、今回はそうじゃないほうがいいなと思って。映像にしても、ジャケットにしても、曲にしても、ある程度イメージが統一されるものがいいなっていうのはありましたね」