インタビュー

XA-VAT 『艶℃』

 

XA-VAT_特集カバー

 

[ interview ]

エレクトロ・ポップやポジティヴ・パンクなどが交錯する独自のニューウェイヴ感覚を注入したバンド・サウンドのみならず、前衛的なファションセンスやアートワークをも通じて新たなエンターテイメント性を提示する4人組、XA-VAT。

いよいよ届けられたファースト・アルバム『艶℃』は、この4人――石井秀仁、Kozi、SADIE PINK GALAXY、小間貴雄――の個性が共存するからこそ獲得し得た、特異なポピュラリティーに満ちた仕上がりだ。その名が示す如く、芳醇な音楽性に艶かしくも艶やかな空気を纏わせた音世界を構築している。

「流行通信」、ミニストリー、資生堂、「湘南爆走族」、プリンス、〈エレクトロの現代的解釈〉……と、謎めいているようでいて納得のキーワードを挙げながら、本作の発想の元について、首謀者の石井秀仁が語る。

 

 

艶やかな空気感

 

――『艶℃』って、いいタイトルですね。

「おお~、さすが(笑)」

――艶かしい温度、艶やかな温度。あと〈温度〉は〈空気感〉とも取れると思うんですが、前のインタヴューでもお話したように、まさにそういうイメージをXA-VATというバンドには持っていたので。この造語には、どういう意味が込められてるんですか?

「それはもう、おっしゃったこと、そのまんまですよ」

――艶かしい……そして、艶やかな空気感。

「そう。それが響き的には〈エンド〉だったら格好良いな、これ、すっげえ構築されてんじゃん、みたいな。もうね、(思い付いた時は)〈うおーっ!〉って(笑)」

――テンションが上がったわけですね(笑)?

「うん、一人で(笑)。ただ、自分で思い付いてもメンバーに〈なぜこういうことなのか〉って伝えるのがすっごい大変なんですよ」

――どういうふうに伝えたんですか?

「長文メールです(笑)」

――(笑)では、そのメールの内容を要約してもらえますか?

「あの~、漢字をね、使いたいっていうのはあったんです。メンバーみんなで話してる時からそう言ってて。写真に文字が入っていることによって、何がしかの効果が生み出されているってこと、ファッション広告とかではよくあるじゃないですか。この文字が入ってるからこの写真なんだ、みたいな」

――はい。

「で、ローマ字みたいなのよりは、格好良い漢字が一文字〈ボーン!〉って乗っかっているほうがいいかな、って。CDのジャケットをどうしようかっていうのと同時にね、タイトルも考えてたんですよ。それで、どういう文字が入ったら格好良いかを考えて……例えば外人のキレイなモデルさんがイカした格好をしてる写真があって、その上に〈流行通信〉って入ってると、よりイカした感じになるじゃないですか。そういう雰囲気がほしかったんですよね」

――ジャケットは3タイプありますが、漢字が入っているのは通常盤のみですね。

「実はね、全部入るんですよ。初回限定盤の二つには三角のでっかい帯が付いてて、そこに〈艶℃〉って入ってて、帯を外すとXA-VATが出てくるっていう。通常盤は普通の帯なんですけど、この写真を見た時に、これがCDのジャケットの表1に見えるか、ってことなんですよね。あまりそういうふうに見えないもののほうがいいな、と」

――なるほど。漢字っていいですよね。一文字に意味が込められますから。

「はい。あとはイメージもね」

――そうですね。そして、そんな本作には新曲が10曲。12月2日のバンドのお披露目ライヴで演奏されていたのがうち、7曲ですよね。

「そうですね」

――シングル『XA-VAT』を作っていた段階で今回のアルバムを見据えていたと思うんですけども、だいぶ前から曲作りは始めていたんですか?

「アルバムに向けてというよりは、ワンマン・ライヴをやるっていうのを決めてたんで、ワンマンでライヴができる最低限の曲数はないと、っていうところで作ってましたね」

――ライヴが単調にならないように、今回はこういう曲が出来たから次は別の方向性で、といったバランスを取りながら?

「そうですね。だから曲のストックは、このアルバムと同じぐらいの数は……まだ10曲ぐらいはあるんだけど、結局ね、コミュニケーションを取らないで各々が曲を作るわけですよ。で、上がったものを一度自分が全部もらうんです。そのなかからどれに手をつけるかっていうのは、みんなで話し合ってたら進まないので、俺が勝手に決めちゃうんですよ。例えば……SADIEさんって、たくさん曲を作るんですね。で、別にどれからやってもいいんだけど、おんなじタイミングで一気に着手したら個々の特徴が薄れてしまうな、ということがあるんです。だったら、そのなかから1曲特化したやつを取ってきて〈今回はこれを完成させますね〉みたいな話をしたり」

――そして上がったものをメンバーに戻すと。そういう作業を繰り返すんですか?

「それが、繰り返さないんですよ。曲が来て、(自分のパートを)乗せて返して、それで終わりなんです。そうしたほうが濃いものが出来るっていうか。あえて揉まないっていう。自分の場合は、オケがあって、歌が入ってるものをみんなに送って、そしたら〈こんなギターどうだい?〉ってギター入りのものが送られてきて、〈いいっすね、それ〉っつって(笑)」

――それで終わり。

「うん(笑)」

 

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掲載: 2011年03月16日 18:01

更新: 2011年03月18日 13:53

インタヴュー・文/土田真弓