REMIX――カオティックなリミキサー陣をメンバー4人が紹介!
XA-VATのファースト・フル・アルバム『艶℃』。本作の初回限定盤の一つには全10曲分のリミックス盤が付属するが、その人選について、石井秀仁はこう語る。
「リミキサーとして名前をよく見る人じゃなくて、〈この人、リミックスやるの?〉みたいな人に頼んだらどうかな、と思いまして。大御所の方から若手の方までね、自分だけじゃないですけど、長いこと(音楽を)やってるといろんな伝手があって、お願いできたりするじゃないですか。だからここぞとばかりに(笑)。おもしろいのは、(鈴木)慶一さんとアトマイザーが一枚のアルバムのなかにいるってことですよね(笑)。それぞれの内容の素晴らしさはもちろんですけど、いちばん重要なのは、こういう10組を集めたということで。〈これ、他のバンドにできるか!?〉みたいなね(笑)」。
そんな発言通り、彼らの人脈をフル活用することで実現したラインナップは、国籍も世代もキャリアも、活動しているシーンも異なる面々だ。石井は言葉を続ける。
「この人たちって、XA-VATのリミックスをやってなかったら共存しないじゃないですか。だけどこの一枚で、一つの集合体としてパッケージされてる。俺が個人的に思うのは、XA-VATの音楽も、そういうものじゃないかってことですよね。どこに所属するとか、どういう見せ方をするとか、そんなことはどうでもよくて。どこかに偏らずに、日本で、間口を広くやるなら、ポップスしかないっていうか……そういうXA-VATの音楽性をこのリミキサーの面子が表しているというか、象徴しているんじゃないか、と。結果的にそういうふうになったんじゃないかと思いますね」。
そんなわけで、XA-VATの音楽性の一端を垣間見るべく、以下では参加アーティストに対するメンバー4人のコメントをご紹介!
“BLACK RUNWAY OF DEVILS” Remixed by 68(from MONICA URANGLASS)
彼と初めて出会ったのは何処かの酒場でした。
パンチのきいたパーティー・ピーポォーな人でした。
そんな彼が料理する音だから間違いありません。
アガリます。さてと、爆音で一杯やっか! *Kozi
PROFILE/MONICA URANGLASS
68(ヴォーカル/シンセサイザー/プログラミング)、KAZ-TICS(ギター)、GEORGE(ベース)から成る3ピース・バンド。2007年に結成、2008年にGOATBEDもリミックスを提供したEP『The Invitation EP』でデビュー。ニューウェイヴ+ガレージ・ロックな作風で、ライヴハウス/クラブの双方で活動中。最新リリースは2010年のEP『(CASE STUDY) CORELESS.BLAH!BLAH!BLAH!」(actwise/EVOL)』。こちらにもGOATBED、NIRGILISのリミックスが。
“ZEROTICA” Remixed by Tycoon To$h
まず、自分は中西さんのデザインしたTシャツを12着ほど持っている、
ただの中西さんのファンでして、15年くらい追いかけている次第でございます(笑)。
今回は、前に自分の主催しているイヴェントに出演していただいた流れでダメもとでオファーしましたが、
心良く引き受けていただきました(A STORE ROBOTに感謝!!!)。
とりあえず極太EMSサウンドにピエール・アンリを感じずにはいられないのですが、
SKYLABやWATER MELONが好きな方にもイントロだけでFIELD TRIPしていただけるでしょう。
WELCOMEで感謝。
FOREVERで敬意。
MAJORなチカラでこんなことできるなんて、本当に幸せです。*小間貴雄
PROFILE/中西俊夫 a.k.a. Tycoon To$h
56年生まれのミュージシャン/イラストレーター。76年に立花ハジメ、佐藤チカらとプラスチックスを結成。日本のテクノ・ポップ・シーンにその名を残すも、81年に解散。同年に佐藤らとMELONを結成し、87年に活動休止。同年には藤原ヒロシ、高木完らとMAJOR FORCEを設立し、スチャダラパーなどを輩出。WATER MELON、SKYLAB、無限ビブロス、野宮真貴とのPLASTIC SEXをはじめ、参加プロジェクトも多数。Tycoon To$h名義では2010年にカヴァー集『HIKIGATARI (recite)』(TARTOWN)をリリースしている。
“Mecca” Remixed by momokomotion
彼女と初めて出会ったのは何処かのライヴハウスでした。
スタイリッシュなウェイヴがチラリズムな人でした。
そんな彼女が料理する音だから理屈じゃありません。
トビます。さてと、爆音で一杯やっか! *Kozi
PROFILE/momokomotion
シンガー/トラックメイカー。バンコク発の多国籍エレクトロ・パンク・バンド、フトンの一員として2003年にアルバム『Never Mind The Botox』でデビューし、日本上陸も果たす。2009年より活動拠点を日本へ移しており、momokomotion名義としては同年に発表したソロ・アルバム『PUNK IN A COMA』(AWDR/LR2)がある。
“VAT-DANCE” Remixed by MAXDEADROOM
自分と同世代のミュージシャンでは極めて希有なバランス感覚を持つ、
解ってらっしゃる方。
なんと言っても平然とMAXDEADROOMですから。
アイデアとネタの宝庫であり、痒い所に届く手を千本程度所持してます。
そりゃもう相当スペシャルなアメージングで御座います。
ユニコーン好きらしいですけどね。たぶんテッシー派でしょう。*石井秀仁
PROFILE/MAXDEADROOM
京都在住のシンガー/トラックメイカー/DJ。2004年にgoatbedとのスプリット・アルバム『STOWAWAY TO PARADIS』を発表したデュオ、SilhouetteNewRomanceの解散後に、80年代のUK音楽番組から派生したCGキャラクター=マックス・ヘッドルームを彷彿とさせる(?)ソロ・プロジェクトを始動。2010年にはファースト・アルバム『WHO'S AFRAID OF ?? MAXDEADROOM』(DEAD DISCO CLUB)をリリース。レーベルと同名のパーティーも主催している。
“Mr.VITAL” Remixed by ATOMIZER
来たぜアトマイザー! さすがジョニー・メルトンにFIL OK!
昨年リトアニアで限定復活したスペシメンと共演した時に初めて会って、
お知り合いになりました。
昔は〈ポジパンなボクラ〉だったし、
当然いまは〈洒落たアトマイザーに夢中なボンクラ〉です。
なにせ、ず~っとHEROです。
BAT CAVEがグシャグシャのミンチにされ、
トキメキTOXICでNAGNAGNAGな仕上がりのHERO REMIXフロム NOW in LONDON。
震えて召しませ! *SADIE PINK GALAXY
PROFILE/ATOMIZER
80年代のロンドンに存在したクラブ=バット・ケイヴの創始者にして、ファッション面でものちのポジティヴ~ゴシック・パンク・シーンに影響を与えた元スペシメンのキーボーディスト、ジョニー・メルトン(現ジョニー・スラット)を擁するエレクトリック・デュオ。2003年にDJヘルが主宰するジゴロからリリースされた“Hooked On Radiation”がスマッシュ・ヒット。現在は入手困難だが、レーベル・コンピ『DJ HELL PRESENTS THE JAPANESE GiGoLo INFELNO』(ミュージックマイン)などで聴くことができる。
“E-Z” Remixed by THE SODOM PROJECT
時代とは絶妙な距離感を保ちつつも常に先鋭的であり続け、尚かつ私のアイドルであり続けてくれています。
以前御一緒させていただいた際にもリハーサルからサウンドのみならず徹底した空間作り等、
当日たぶん帽子を被っていなかったであろう私もすっかり脱帽させていただきました。
そして完膚なきまでSODOM色に染まった“E-Z”光栄で御座います。*石井
PROFILE/THE SODOM PROJECT
ZAZIE(ヴォイス)、Hisashi Saito(プログラミング)、Satoru Ikeda(プログラミング)、Mitsuo Yoshikawa(プログラミング)から成るプロジェクト。81年、ZAZIEを中心にSODOMを結成。ハードコア~インダストリアル~ハウスと音楽的変遷を遂げながら、アンダーグラウンド・シーンを席巻。91年からは活動を休止していたが、2007年に復活しコンスタントにライヴ活動を行っている。THE SODOM PROJECTとしては初の音源を3月27日よりライヴ会場限定で販売予定。
“INVASION-NOVATION” Remixed by Keiichi Suzuki
そもそも慶一さんに無茶苦茶なスケジュールでリミックスとか頼める環境に居ることが恐ろしい幸せであります。
仕上がりがどんな感じになるのかまったく予想すらできませんでしたが、
そもそも私の考えが及ぶような次元には生きてらっしゃらない方ですからね。
インテリジェンスが溢れかえったミックスは年季が違います。
ぜひとも黙祷しながら聴いていただきたい。*石井
PROFILE/鈴木慶一
51年生まれ。71年にはちみつぱいを結成し、解散後の75年にはムーンライダーズを始動。日本のロック/ニューウェイヴの先駆け的な存在となる。楽曲提供や映画/ドラマへの出演など幅広い活動を行いながら、現在に至る。近年はソロ作品の制作も活発で、2008年にリリースした17年ぶりのオリジナル・アルバム『ヘイト船長とラヴ航海士』は第50回日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞。最新リリースは2011年1月に発表した『ヘイト船長回顧録』(ソニー)。
“NUMANS-ROXETTE” by YASUYUKI OKAMURA
岡村さん、ベース弾いてます。ギター弾いてます。声も入ってます。
とてつもなく贅沢なミックスであります。
私、それを渇望しておりました。
現場作業も拝見させていただいたのですが、
途轍もなくエキサイティングなヴァイブで御座いました。
岡村さんの作品は幼少期より愛聴し続けてきましたが、
時を経て私共も岡村ワークスの端っこの一端になれた事実こそがステップUP↑ *石井
PROFILE/岡村靖幸
65年生まれのシンガー・ソングライター。石野卓球とのユニットや楽曲提供をはじめとした外仕事も含め、80~90年代の日本のポップス・シーンで個性的な存在感を放つ。オリジナル作品の発表は2007年のシングル“はっきりもっと勇敢になって”(ユニバーサル)以降途絶えていたが、覚せい剤取締法違反による3度の服役を終えた2010年に手掛けたXA-VAT“NUMANS-ROXETTE”のリミックスが久々の公式音源となり、話題となった。
“EPOC TRACE” Remixed by Minoru Kurihara(from NIRGILIS)
以前、前にやってたバンドでNIRGILISさんとごいっしょさせていただいたことがあり、
その時の印象はクラフトワークばりにPCを3人3台並べてVJもアリアリなバキバキのテクノドンでカッケーと思ってて、
いつかいっしょにお仕事できたらと思ってたところにマネージャーから〈栗原さんやってくれるよ〉と言われまして、
ワン・ツーでお願いします!といった流れでした。
完成した楽曲も流石で完全にクラブで踊れる仕様になってます。
栗原さんにはいつかカイリー・ミノーグとかのリミックスをしてもらいたいです。
そんなのが見えてくるサウンドです。*小間
PROFILE/NIRGILIS
岩田アッチュ(ヴォーカル/ピアノ&キーボード/プログラミング)、栗原稔(ベース/DJ/プログラミング)、稲寺佑紀(ドラムス/プログラミング/コーラス/A-VJ)から成るユニット。マッシュアップを採り入れたミクスチャー・サウンドが特徴。2002年にシングル“真夜中のシュナイダー”でデビュー。以降のメンバー脱退を経て現在の編成に。これまでに13枚のシングルと4枚のオリジナル・アルバムの他、リミックス集などリリース作品は多数。現時点での最新音源は2009年作『RGB』(DefSTAR)。
“THE 艶℃ BABY” Remixed by Luis Miguelez(from GLAMOUR TO KILL)
BERLINエレクトロ・パンクのゴッドファーザー、
グラマー・トゥー・キルのルイス・ミゲル。
1トラックしかお願いしていないのにも関わらず3トラックも仕上げるという、
なんたるサプライズ・ジェントルマン。
ウン十年にも渡り、
PUREで〈オンギャー〉とROCKし続けてるヤツは世の中にどれだけいるのだろうか。
イイヤツは良い音楽を作る。
ジャスト・シンプルなハッピー。レッツ艶JOY! *SADIE
PROFILE/GLAMOUR TO KILL
アントニオ・キュレブラス(ヴォーカル)、ルイス・ミゲル(ギター)、ホアン・トルメント(キーボード/プログラミング)から成る、スペイン出身、ベルリンを拠点に活動するエレクトロ・グラム・ユニット。2003年に結成。2006年作『Pecados Electlicos』以降はしばらく表立った動きが見られなかったが、2010年に活動再開。11月にはニュー・アルバム『Creatures Without Soul』(Pele)をリリースした。