インタビュー

INTERVIEW(3)――〈必然〉とは言いたくない

 

〈必然〉とは言いたくない

 

高橋優_A1

 

――両A面のもう1曲“現実という名の怪物と戦う者たち”ですけど、この曲も歌詞のメッセージが非常に明確で、〈出会えて良かった〉という一言に集約される感情があると思います。どんなふうに出来た曲ですか。

「歌詞をなぞることになっちゃいますけど、友達とか、心から信じ合える人と出会えてるよなという実感があったから出来た曲ではありますね。これも、こういうことを歌いたいという気持ちは以前はあまりなかったんですよ。〈友達の歌とかって、勘弁してよ〉みたいな気持ちもあったんですけど、それを心から思えるようになったら歌おうというのはずっとあったんで。いままさに巡り合ってる人たちとの出会いがなければ、この曲も出来なかったということだと思ってます」

――そう思えるようになったのは、割と最近ですか。

「そうですね。去年の9月、10月くらいだったと思います」

――それまでは何かしら、葛藤があった?

「去年の時点で、たぶん実感はあったと思うんですよ。そういう曲を書くことにもう抵抗はないなって。あとはそれを歌うきっかけがないかなって、頭のどこかで探していたのかもしれない。これは〈バクマン。〉というアニメのエンディングテーマに使ってもらってるんですけど、〈バクマン。〉のストーリーが、仲間同士で何かを成し遂げようとするストーリーで、その話をいただいた時に、自分も一人じゃできないよなっていうところとリンクして、曲が生まれるきっかけになったような気はします」

――そういう出会いって、自分は運が良かったからと思います? それとも自分が引き寄せたものだと思っています?

「もちろんそれもあります。望んでいたので。音楽で生きていきたいとか、音楽で協力してくれる人たちといっしょにいたいという思いが心のどこかにあったんですよ。そうじゃなきゃ、6年も一人で路上ライヴなんか、やらなくないですか(笑)?」

――ないでしょうね(笑)。信じるものがなかったら。

「その時は自分で生計を立てていこうとか、ひとりぼっちでどこまでいけるかとか、考えてたんですけど、それでおじいちゃんになるまで一人で路上で歌っていたかったか?と考えると、たぶんどこかで何か巡り合わせがあって、協力してくれる人が現れるかもしれないとか、頭のどこかではわかっていたことだったような気はするんですよ。そもそも僕がそれをやっていなければ、誰とも出会ってなかったと思うので。もしも同じように何年も路上で歌っている人たちがいて、出会いに恵まれていないと嘆く人がいるのなら、そういう人たちと比べると自分は、出会えたことに感謝する気持ちはあります。ただそれを、一概に〈ラッキーだった〉と言っちゃうのは、出会った人に失礼だと思うし、そういう言葉は出てこないですね。自分もがんばっていたし、その人もがんばっていたなかで巡り合えたわけで……だからといって〈必然〉というカッコつけた言葉も別に言いたくはなくて。だからこそ〈いつまでもいっしょにいられるわけじゃない〉と歌ってるんですよ。その出会いから何を学ぶか、何を生み出せるか、そういうほうが大事なんじゃないかと思います」

 

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掲載: 2011年02月23日 18:00

更新: 2011年02月24日 14:42

インタヴュー・文/宮本英夫