INTERVIEW(3)――ラップ・アルバムにしようと
ラップ・アルバムにしようと
――なるほど。今回はメンバー4人だけですべて制作しているところも特色だと思うんですけど、どうしてゲストを一切迎えなかったんでしょうか。
ALI-KICK「4人だけで作ろうと話し合ったわけではないんですよね。なんとなくこうなったんですけど……今回はリリックの方向性をタイトにまとめたいなと思ったんです。それぞれが別の視点を取るにしても、それはちゃんと狙ったうえでそうしようと。そうすると、俺たちMC3人の意見をまとめるだけでも結構大変なことなんで、さらに外部のラッパーなりシンガーを呼ぶとなると〈いやいや、無理無理〉っていう(笑)」
――確かに今回のアルバムは、どの曲もテーマががっちりと設定されてますよね。
ALI-KICK「かなり明確に決めましたね。ひとつのテーマを持ってきて、そのうえで相当話し合った」
――しかも、3人のMCが緻密に絡みながら、ひとつのテーマに沿ったリリックを積み重ねていってますよね。単純にひとりづつ順番に出て来る構成じゃない。
将絢「話し合いの量はこれまでと比べても圧倒的に多かったですよね。みんなと書いてきたリリックを照らし合わせて。面倒臭いなあってくらい、〈それ細かすぎない?〉って思うくらいに突き詰めて書いた。だから1曲のなかでの言葉の整合性は飛び抜けて高いとは思います」
――これまでもそういうスタイルで作ってきたんですか?
エムラスタ「いや~、今回に比べると、これまではいい加減でしたよね(笑)。もちろん一生懸命やってたんですけど。いままでは自分のヴァースを書くだけで精一杯なところがありましたけど、今回はそれぞれが持ってきたリリックに対して駄目出しをして。ものすごく書き直したし」
――ROMANCREWってむちゃくちゃ音楽好きで、言葉よりまず音ありきと考えるグループなのかなと勝手に思ってたんですよ。僕はまさにそういうタイプなんですけど、ヒップホップを聴いていてもリリックに耳が向いてないことが多いんです。
ALI-KICK「俺もそうです(笑)」
――あ、そうですか(笑)。そういうふうに感じてたグループが、ここまで言葉を突き詰めていることが衝撃でした。
エムラスタ「作り出すにあたって、ラップ・アルバムにしようってことを決めたんですよね。いままではトラックがまずあって、そこからイメージされるリリックを書くという流れが多かったんです。でも今回は、最初にキーワードを持ってきて、そこから膨らませていったり、〈こういうことが言いたい〉ってことを決めてからトラックを用意したり。作り方が変わったんですよね」
ALI-KICK「“絶滅危惧種”だったら、まずタイトルをポンと置いて、そのうえでどういう方向から書くか考える。とは言え、ガチガチにアタマで作った音楽になるのも嫌だったので、すごく大事なところをあえて適当に決めたり。そのバランスには気を遣ったかもしれない」