LONG REVIEW――ROMANCREW 『ロマンのテーマ ~ROMAN'S THEME~』
二枚目だろうと三枚目だろうと、役者にはやはりドラマが必要なのだろう。2作目『DUCK'S MARKET』の好評でサークル外にも届く状況を整えた段階でのレーベル消滅は4人に足踏みを強いるものだったに違いないが、その間には将絢がEVISBEATSと組んだ『offutaride』もあったし、maruhiprojectとのスプリットEPから久保田利伸にまで広がるALI-KICKのプロデューシングの浸透もあった。何より、その間に温めていた〈2.5枚目〉にあたるEPを発展させて今回のサード・アルバムを快作結実させるに至ったのだから、不幸なブランクも天の采配だったのだ。
外野席からも勝手にそう言い切ってしまえるほどこの『ロマンのテーマ ~ROMAN'S THEME~』はグループ史上最高にフレッシュな聴き心地で、4人の魅力を鮮やかに切り取った内容になっている。これまで手合わせしてきたRHYMESTERやオーサカ=モノレール、SHINGO★西成、コヤマシュウ、TARO SOULらの男臭いエキスも確実に自分たちのものに昇華したようで、ゲストを迎えなかったのも正解だ。伊達でファンキーなMC陣の絡みが一皮剥けてキャッチーさを増したトラックに乗る様子からは、〈二枚目半〉を標榜する4人の晴れやかな面構えが浮かんでくる。
そんな勢いを象徴するのがDJ TOKNOWの手による4曲で、特に昭和マナーの男前なオルガン・ファンク“ロマンクルーのテーマ”と、いろいろな意味合いでの〈マイノリティー〉たる現状を決然と受け入れるスケール感のデカい“絶滅危惧種”は素晴らしい。最近流行の〈外に届けたい〉という意識に空回りすることもなく、そもそも万人受けする必要があるのかどうかという大前提から眼差しをそらすこともない逞しさは、届くべき人には必ず届くものだろう。改めてグループの佇まいやスタンスを表明/紹介するような楽曲が多いこともあるし、極めて安易に〈新しいファースト・アルバム〉と言ってしまってもいい一枚だ。