インタビュー

キノコホテル 『マリアンヌの恍惚』

 

キノコホテル_特集カバー

 

[ interview ]

メジャー・デビューから1年あまり。ステージではサディスティックなキャラクター&お色気を撒き散らしながらも、それを凌駕する個性的でチャーミングな音楽性でもって着実にその足跡を残してきたガールズ・バンド、キノコホテル。そんな彼女たちが、セカンド・アルバム『マリアンヌの恍惚』をリリースする。ソングライティング、アレンジ、演奏──その高いポテンシャルをより露わにした今作を前に、われわれはもはや悶絶するしかない……かもしれませんよ!

 

 

いつもより少し厚化粧

 

──今回のアルバム、言い方が適当かどうかわかりませんが、凝りましたね。

マリアンヌ東雲(歌と電子オルガン)「そうですね。ステージでの再現性っていうことをあえて考えないで……ただ、あまりやりすぎるとね、ストリングスを厚く入れたりとかラッパを入れたりとか、個人的には好きなんだけど、キノコホテルのサウンドではなくなってしまうので、そのあたりのさじ加減を自分で考えながらあれこれ付け加えていって。いつもより少し厚化粧してる感じかしら」

──こういう作風にするということは、制作前から考えられていたことなんですか?

マリアンヌ「私の頭のなかには、そういう考えがありましたね。やはりその、キノコホテルは出てきた時からGSとか歌謡曲っていう言葉で周りから括られて、こちらからはそういう言葉を発信していないにもかかわらず、世間の見方は結局そういうレヴェルで終わっていた節もあったんですよ。だから、『マリアンヌの憂鬱』が出た時点で、次に出す時はちょっとそのへんをね、聴く人を挑発するようなものを作りたいなという気持ちが、私の胸中にはあって。うん、そういう構想をなんとなくは練っていたんですけど、かといってものすごく計画的に作られたアルバムっていうわけではなくて」

──より知的な一面を見せたというか、腕っ節の強さを見せ付けた感じですよね。

マリアンヌ「そうね、女の子だけのグループでそういったものを感じさせるグループってあまりいないと思うの。でも、キノコホテルは……というか、私が仕切ってる以上そうなってしまうんだけど、そういう〈らしさ〉みたいなものを出せたらと思って」

──制作の段階でメンバーに要求されることも、よりハードルが高くなったんじゃないですか?

エマニュエル小湊(電気ベース)「『マリアンヌの憂鬱』の勢いを大事にしていたところもありつつ、それよりももうちょっと知的な部分というか……差はつけたかったですね」

イザベル=ケメ鴨川(電気ギター)「ギターに関して言えば、GSっぽいねって言われるようなわかりやすいフレーズっていうのが今回あまりないんですよ。ギターのアイデアは結構任されているんですけど、かなり自由にやらせてもらったっていう感じで。自分のヴォキャブラリーって少ないなあとは思いましたけどね(笑)、少ないなりにいろいろやったなあって」

ファビエンヌ猪苗代(ドラムス)「今回のアルバムにはインプロっぽい曲が入ってて、“風景”っていう曲と、最後の“マリアンヌの恍惚”って曲がそうなんですけど、大体こうしようかな?っていうプランを事前に立てつつも、その場で出たとこ勝負みたいな感じで録ったんですね。それが楽しかったし、録って出来上がりを聴いたときに、〈まあ、スゴイ!〉って思いました(笑)」

マリアンヌ「“風景”と“マリアンヌの恍惚”に関しては、あえてそういったものをやりたいなと思って作った曲で。決まったことをただやるだけという状況にすごく窮屈さを感じていたので、そのへんをこの人たちを巻き込んでやってやろうかと。メンバーには、大体こういう感じで曲が進行していくけど、このへんでリズムが変わって、こっからは好きにやってみなさいみたいなことを言って作っていった曲ですね」

──その2曲は今回のアルバムの肝になりましたね。

マリアンヌ「“風景”はステージでもときどき披露している曲で、わりと耳の肥えてそうなオッサン層が(笑)、聴き入ってたりするんですよ。キノコホテルの新境地的なものを感じさせる曲、新しい世界を感じさせる突破口になった曲でもあって、だからその同一路線の、ファビエンヌが言っていたインプロヴィゼーションなテイストを帯びたものをアルバムにもう1曲入れたいと思って作ったのが“マリアンヌの恍惚”で」

 

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掲載: 2011年03月30日 20:59

更新: 2011年03月30日 21:00

インタビュー・文/久保田泰平

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