INTERVIEW(2)――ダサダサだけど記憶に残るCMソング
ダサダサだけど記憶に残るCMソング
──では、他の曲についてもお訊きしていこうかと思うんですが、まずはオープニングの“キノコホテル唱歌II”。ラジオのチューニング・ノイズを混ぜていたりという小技を効かせた曲で。
マリアンヌ「昔、深夜帯に流れていたような、ダサダサなんだけど記憶に妙に残ってしまうラジオのCMソングみたいなものを想定して書いて、ノイズはミックスの段階でこういうものを入れたいってエンジニアさんにアイデアを伝えて入れたものなんです。ラジオで育った世代ではないので、深夜ラジオのCMというのはあくまでも妄想なんですけどね(笑)」
──続いての“白い部屋”は、ファズギターの印象的なリフとメランコリックなメロディーラインが交錯する……あまり好ましい例え方ではないかもしれませんが、GS的なナンバーで。
マリアンヌ「非常にキャッチーでわかりやすい、頭に残りやすい曲だとは思いますね。この曲はレコーディングのギリギリまで歌詞を書き直したりしていて。でも、ドタバタで作ったとは感じさせないものにはなっているとは思うけど」
──土壇場になっても歌詞がないときはどうやって作詞のモチベーションを上げていくんですか?
マリアンヌ「部屋に籠もって作業するっていうことがあまり得意ではないので、普通にお酒を飲みながらリラックスしている時に〈あっ、気分がいいわ〉ってなったらがんばるという感じではなく、少しずつ考えることが多いの。ただ、その時間すらないときは、スタジオでエンジニアさんが準備しているあいだに、慌てて思い付くままに殴り書きしていってそのまま歌ったりということもあります。とにかく、詞を書くのがすごく嫌いで、誰かに任せられるなら任せたいと思いつつも、なかなかそうもできない事情もあったりして。作家の方にお願いしてみるのも将来的にはアリかなと思わなくもないですけど、ただまあ、自分の詞は意外と誉めていただけることもあって、誉められると良い気分になるから(笑)」
──“非情なる夜明け”は、思わずステップを踏みたくなるグルーヴィーなナンバー。ベースラインでグイグイ攻めてくる曲ですよね。
エマニュエル「こういう感じのグルーヴィーな曲はもともと好きなので、ライヴでもそうですけど、レコーディングのときも楽しく弾きながら作っていった感じですね。ベーシストとしてやり甲斐のある曲です」
マリアンヌ「私もこれ、ベースを活かしたくて考えた曲なんですよ。この人の好みというのもメンバーのなかでいちばん付き合いが長いからわかってるし、私もこういう曲が好きだから、ベーシストのモチヴェーションが上がるように仕向けた節もなくはない曲で」
エマニュエル「あと、メロディーも良いので、そのなかでベースを弾くっていうのがすごく気持ち良くて」
──では、今度ライヴで拝見するときは、この曲でのエマニュエルさんの表情に注目しておきますね。きっとイイ顔して弾いてるんだろうなあ。
エマニュエル「恍惚の表情で弾いてると思います……わかりづらいかも知れませんが(笑)」
ケメ「恍惚の顔、見てみたい!」
マリアンヌ「ちゃんとイキ顔で弾かなきゃだめよ」
ケメ「BB・キングみたいに(笑)」
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