INTERVIEW(2)――もっともガチになれるバンド編成
もっともガチになれるバンド編成
――で、太一さんが加入したのが2006年の年明けだった、と。
梅木「2006年の1月ぐらいに声をかけてもらったと思うんですけど、その頃ちょうど鎖骨が折れてて、〈ちょっと待ってください〉と返事した記憶があります(笑)」
中村「学生時代から太一のことは知ってて、サークルの呑み会なんかで〈いっしょにやろう〉なんて話はしてたんですよ。kowloonのドラムを探してるころは僕も20代後半で、同世代のドラマーだとバンドを辞めちゃってるか、もしくは引く手あまたで忙しいかだったんですけど。で、割と暇で呑んだくれてるヤツがひとりいるぞ、と(笑)。太一のことは以前からいいドラマーだと思ってたんで、とりあえずスタジオに入ってみようと。そうしたら空気感が合ったんですよね」
――いろんな音楽性に対応できるドラマーである必要はあったわけですよね?
中村「いや、そこまでテクニカルなものは求めてなくて、メンタル面のほうが重要ですね。たまにスタジオに入って練習するようなバンドじゃなくて、週1、2回は必ずスタジオに入ってゴリゴリやっていこうと思ってたんで、まずはそこに付いてこれないと。界の時もそういうペースでやってたし、やってくなかでテクニックが付いてくれば。あと、最初からテクニックが十分ある人だと僕はそれも困るんです(笑)。特定のスタイルをコピーしてそのまま演奏されても、kowloonだとおもしろくないんですよ。練習のなかでああだこうだ言いながら作っていくのもバンド・サウンドのうちだと思ってるんで、ガチに叩き上げていきたかったんですね。で、もっともガチになれるバンド編成が3人じゃないかと。だから、kowloonは男臭いバンドだと思いますよ」
――ジャズならジャズを、ソウルならソウルをサラッと演奏できちゃうとおもしろくない、と。
中村「ま、それも楽しいと思うんですけど、kowloonの場合サラッとじゃなくて、毎日会って、いっしょに呑み、言い争いもして、そういう部活ぽいニュアンスなんですよ、kowloonは」
――実際にその練習に入ってみて、太一さんはどう思いました?
梅木「えっと……(笑)」
中村「サークルでの太一はリハも来ないし、ライヴにも遅刻してくるっていう噂だったんですけど、kowloonではちゃんとしてるんですよ」
梅木「(2人が)怖いんですよ(笑)」
――さっき〈もっともガチになれるバンド編成が3人〉っておっしゃってましたが、少人数ゆえの難しさもあるんじゃないですか?
中村「そうですね。鉄兵はギターも弾きますけど、コード楽器は基本的に僕しかいないので、オーソドックスなアンサンブルができないんですよ。かといってジャズ的なトリオでもないし。だからこそ工夫せざるを得ないところが難しくもあり、おもしろいんです」
――アンサンブルをどう組み立てていくか。
中村「そうです。とにかくスタジオに入ってああだこうだ試していくしかない。最初の『The Fever』を出した頃はまさにそういう時期でしたね」