INTERVIEW(4)――楽器もゲスト・プレイヤーも多彩な要素を
楽器もゲスト・プレイヤーも多彩な要素を
――今回のアルバム『metallic, exotic』なんですが、前作『infection』から4年もあいだが空きましたよね。
中村「去年の7月に録ったので、実際は3年ですね。『infection』以降は3人でイチから作りじはじめたこともあったし、ミニ・アルバムじゃなくてフル・アルバムをガチッと出したかったんですよ。あと、今回は前作でできなかったPVも作りたかったし、いちばんいい状況で出したかったので時間がかかってしまって」
――制作にあたって具体的なイメージはあったんですか?
中村「今回は鉄兵がシンセ・ベースを弾いてたり、前作よりもいろんな楽器を使ってるんですよ。アルバムのタイトルが『metallic, exotic』なんですけど、そのタイトルが含んでいるように、いろんな要素が詰まっている感じにしたかった。サラッとした感じじゃなくて」
――今回は美濃隆章さん(toe)がレコーディング、ミックスダウン、マスタリングを担当してますよね。
中村「美濃くんとはtoeでもいっしょにやってるんですけど、音作りのアイデアとかレコーディングの雰囲気とかすごくいい感じに作ってもらいました」
――メンバー含め4人で作った感じ?
中村「うん、本当にそうですね」
――それと、ゲストもいろいろ参加してますね。
中村「フルートの松村(拓海)くんは彼のライヴを観た鉄兵が〈kowloonに合うんじゃないか〉って誘ったんですよ。we are time(ryo iwamoto/ギター)や吉田一郎くん(ZAZEN BOYS/ベース)は前からいっしょにやってみたかったミュージシャンで、ヴォイスの(mariko)yamamotoさんは僕がホテルニュートーキョーを手伝ってる縁で知り合ったんですけど、kowloonの音に染み込むような感じで歌う人を探していたので適任じゃないかと思って」
――“tones of nowhere”ではPVも作られましたが、これも印象的な仕上がりですね。
中村「あれはさいごうみちのりくん(54-71やmouse on the keysらとコラボレーションしてきた映像アーティスト)に作ってもらいました。自分たちでスモークを炊く予行練習もしたんですよ(笑)」
梅木「フォグ・スクリーンっていう手法らしいんですけど、スモークに映像を映してて。54-71のリーダーに発煙筒を持ってもらったりして(笑)」
――それと、今回はメジャー・デビュー・アルバムになりますよね。
中村「今回のレコード会社のスタッフは昔からライヴに来てくれてた人なんですけど、曲が集まってきた時にリリース元を相談したら〈じゃあ、ウチから出そう〉と言ってくれて。だから、メジャーで出したくて動いてたわけじゃなくて、信用できる友人がたまたまメジャーにいたっていう感じなんですよ。メジャー・デビューっていう意識もないですし」
――このアルバムを引っ提げてツアーも行われる予定ですが、ライヴに関してはどういう意識を持ってます?
中村「レコーディングとライヴでは耳が全然違うんですよ。レコーディングだとレコーディングならではのアレンジとか演奏方法が浮かんでくるんですけど、ライヴに気持ちが向かうとレコーディング中にはないテンションが加わってきて、そうするとレコーディングのアレンジも変わってきたりとか……そういう相乗効果はあります。お互いのいいところを反映していければと思ってます」
――今回のレコーディング以降でライヴも変わってきました?
中村「例えば“tones of nowhere”でストリングスのシンセが入ってるんですけど、ライヴでそのフレーズを再現しようとすると、僕の手が1本足りないんですよ(笑)。でも、同期させるのは違う気がしたので、ライヴ用に足で踏めるようにループ・ステーションを購入して。極力リアルタイムで表現できるように考えてますね。僕らみたいなバンドは極力リアルタイムでやったほうがいいと思うんですよ。同時にアルバムの緻密さもできるかぎりライヴで再現したいと思ってます」
――なおかつ、3人という編成にもこだわりつつ。
中村「そうですね。“tones of nowhere”のストリングスのフレーズにしても、ゲスト・ミュージシャンを呼べば済む話なんですけどね(笑)。3人だけでやるのがkowloonの原点だし、それゆえの良さがあると思うんで」