INTERVIEW(3)――ダンス・ミュージックとバンド・サウンドの融合
ダンス・ミュージックとバンド・サウンドの融合
――EP『The Fever』から2007年のファースト・アルバム『infection』になると音が少し変わりますよね。太一さんの加入が大きかったんでしょうか。
中村「3人で根を詰めてやったことが大きいでしょうね。『infection』は謡子ちゃん時代の曲も半分ぐらい入っているので、まずは太一がそれらの曲を身体に染み込ませないといけなかったし、いまのスタイルの骨格がその時に出来たのかもしれませんね」
――その後ひたすらライヴを重ねてきたわけですね。
中村「『infection』は1曲1曲が長いんですよ。だからライヴだと4曲ぐらいしかできないこともあったり(笑)」
梅木「延々ループしていくんですけど、全然(曲の終わりの)合図が出てこない(笑)。しまいには圭作さんも踊り出しちゃったり(笑)」
中村「界の時代もそうですけど、その頃もダンス・ミュージックとバンド・サウンドの融合は意識していたところもあって。ただ、自分たちの好きな音楽も変わってくるし、新しいこともやりたくなってくるので、曲も段々短くなってきてハードコア寄りになってきたんです(笑)。あと、クラブ・シーンよりもバンド・シーンでライヴをやることが多くなってきたので、タイトに曲が展開していく曲が多くなってきたのかも」
――そのきっかけになるような、インスピレーションの源になった曲があったんですか?
中村「いや、特にはないんですけど、基本的にいいと思ったものはどんどんやっていこうっていうスタンスなんですよ。以前やってたものを崩して新しいものをやっていく。もしくはゼロから組み立てていく。リーダーの鉄兵がアイデアを持ってきて、それをみんなで形にするんですけど、最初のアイデアが理解不能な場合もあって(笑)、まずはやってみないとわからないことも多いんです」
――2008年にはtoe、mouse on the keysとのツアーも行われましたが、ひとつのシーンとして見られることもありますよね。この3バンドで共有しているものがあるとすれば、どういったものだと思います?
中村「他のバンドと話し合ったことはないんですけど……音楽面よりも、生活圏が近いことのほうが大きいでしょうね。僕もtoeに参加してますし、mouse on the keysとは使ってるスタジオがいっしょだったりするし、よくいっしょに呑んでますしね」
――では、あえて訊きたいんですけど、いままでにないシーンを作ろうっていう意識はない?
中村「そこまで大それた意識はないですね。地道な活動がそのシーンの広がりに繋がってるとは思います。シーンを作るっていう意識よりも、自分たちが格好良いと思ってる音楽を長く続けていくことのほうが重要で、お客さんもそれを楽しみにしてくれているような」
――そういうところがいいんですよね。日常に近いところで音楽を鳴らしているというか、それが3バンドに共通する自由なムードに繋がってるのかもしれない。
中村「お客さんもそういう雰囲気を感じ取ってくれるからこそ、ライヴに遊びに来てくれてるのかなとは思いますね。音楽のジャンルがうんぬんというよりも、もっとふわっとしたところでシンパシーを感じてるというか、抽象的なところで繋がってるんじゃないかな」